研究課題/領域番号 |
24404019
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉野 博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30092373)
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研究分担者 |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
柳 宇 工学院大学, 建築学部, 教授 (50370945)
岩前 篤 近畿大学, 建築学部, 教授 (90368283)
張 晴原 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (70227346)
鍵 直樹 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20345383)
後藤 伴延 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20386907)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 住宅 / エネルギー消費 / アンケート調査 / 実測調査 / シミュレーション / ダンプネス / 結露 / カビ |
研究概要 |
これまで、アンケート調査と実態調査を行い、その成果を原著論文1件、国際学会発表(査読済)2件、国内学会発表2件で発表している(詳細について業績リストを参照)。 これまでに得られた主な知見は以下の通りである。 ・アンケート調査:現在アンケートについて単純集計とクロス集計を終了し、詳細な解析を行っている。単純集計より得られた主な知見は次の通りである:(1)「花粉症様症状」を持つ児童は約35%であり,少なくとも3割から4割程度の児童にアレルギー性疾患が見られた。(2)築年数は10年以上の住宅が半数以上を占めており,開口部の構成では,北京や大連の窓ガラスの種類が,日本のほぼ同緯度の地域で実施された調査結果と似た傾向を示していた。(3)北京と南部の3都市では,半数以上が「ルームエアコン」を用いて冷房をしているが,ハルピンと大連の2地域については冷房設備を使用しない割合の方が多かった。(4)結露は「窓・サッシ」での発生が最も多く約30%であり,カビは「壁」での発生が最も多く約13%であった。 ・実態調査:現在実測結果についての詳細な解析を行っている。これまでに得られた主な知見は以下の通りである。全体的に、PM2.5については濃度が高く、最高濃度が650μg/m3を上回った。微生物については日本の住宅基準の1000cfu/m3を超えた住宅が少なくなかった。揮発性有機化合物やカルボニル化合物などの濃度こそ高くはないものの、TVOC(総揮発性有機化合物)の濃度が日本厚生労働省から出された暫定目標値の400μg/m3より約10倍高い住宅があった。現在、室内の換気実態など各々の調査結果を詳細に解析し、その結果とアンケート調査結果の関連性について解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画より、武漢市の測定に加わったほか、アンケートの配布数と有効回答率が高かった。 これまで研究の実施状況は以下に示す通りである。 ・アンケート調査:気候条件の異なる6都市を対象に次に示すアンケート調査と実態調査を行った。ハルピン:配布数140(有効回答率90.7%);北京:配布数150(有効回答率:100%);大連:配布数120(有効回答率:100%);上海:配布数205(有効回答率100%);武漢:170(有効回答率100%);長沙:配布数140(有効回答率100%)。 また、アンケートの対象から次に示す6都市の住宅延べ117件、学校教室18件を対象に室内空気質、熱環境に関する詳細な測定を行った。ハルピン:冬期(住宅10,教室2);北京:冬期(住宅10,教室2)、夏期(住宅10,教室2);大連:冬期(住宅10,教室2)、夏期(住宅10,教室0);上海:冬期(住宅21,教室2)、夏期(住宅19,教室1);武漢:夏期(住宅10,教室4)、冬期(住宅 7,教室4);長沙:夏期(住宅10,教室0)、冬期(住宅10,教室1)。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では下記に示す研究を実施する。 ・実測結果の詳細解析:室内空気質、温湿度調査の結果、実測結果とアンケート調査結果の関連性についての詳細な解析を行う。 ・高湿度環境改善の効果の予測:前年度まで得られた実測結果と作成した室内湿度分布予測プログラムを用い、断熱及び気密性能の向上、調湿建材の配置、適切な換気及び暖冷房設備などの高湿度環境の対策手法の効果を定量的に評価する。 ・高湿度環境による結露・カビの防止対策のための最適設計法と住まい方の提案:実際に結露・カビ被害のある住宅を想定した数値シミュレーションを行い、住まい方を考慮した上で、気候条件・建物条件に対応した各種高湿度環境の対策技術の効果を評価する。 ・これまで得られた知見とアンケート調査結果及び実測結果をもとにして、結露・カビ被害を防止するための最適設計法と住まい方を提案する。 脱
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次年度の研究費の使用計画 |
中国で実測を行った際に使用した計測機器類(日本から持ち込んだ)の校正や輸送費が生じるので、30万円弱の繰越金を次年度にこれらの費用に充てる予定である。 データの解析を終え、再測定を行う必要がないことが確認された。次年度計測機器類を日本に送り返し、計測機器類の校正を行う予定である。
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