研究課題
1)アンケート調査から,中国都市部では有症率に地域差があり,南部が北部より何らかのアレルギー性疾患を少なくとも1つ有する児童の割合が約15%高いことが明らかになった。また,ロジスティック回帰分析の結果,カビや化学物質の影響を示唆する要因とアレルギー性疾患との有意な関連が認められた。なお,オッズ比の大きさからカビよりも化学物質による影響が大きい可能性が示された。2)実測調査の結果からは,アレルギー性疾患を有するケース群とコントロール群間の浮遊真菌などの室内汚染物質の濃度差は認められなかった。ただし,南部が北部よりTVOCとPM2.5の濃度が有意に高いという結果が得られ,この事実は上述したアレルギー性疾患の有症率の地域差と整合している。また,室内のPM2.5については,冬期に86%・夏期に88%の住宅で日本の大気汚染基準値35μg/m3を超過しており,室内濃度は外気濃度とほぼ同じで,大気中のPM2.5の深刻な汚染がそのまま室内の汚染になっていた。なお,1つの住宅において空気清浄機の利用による濃度低減の有効性が実証されたものの,現状ではバックグランド濃度が高いため,その効果が限定的であった。3)日本で実施した先行調査結果と比較すると,何らかのアレルギー性疾患を少なくとも1つ有する児童の割合は,中国よりも日本の方が大きかった。また,日本の方が浮遊真菌とTVOCの濃度が有意に高く,アレルギー性疾患の有症率の差とも整合している。4)室内温湿度の実測結果から,中国の住宅に関して,この十年における断熱化があまり進んでいない可能性が高い一方で,換気回数が減少しており,都市の高密度化によって窓開け行為が減少した可能性があることが示唆された。5)カビ汚染防止の観点から,冬型結露を防ぐための最小熱抵抗を中国の観測気象データに基づいて求め,その地域性を明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Building and Environment
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10.1016/j.buildenv.2015.02.028