研究課題/領域番号 |
24404021
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 幸夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20159081)
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研究分担者 |
窪田 亜矢 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30323520)
永瀬 節治 和歌山大学, 観光学部, 講師 (10593452)
黒瀬 武史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50598597)
ディマー クリスチャン 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (00601048)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 仏教遺産 / 世界遺産 / ネパール / ルンビニ / 都市保全 |
研究概要 |
本研究は以下の4つの研究分野から成っている。すなわち、①ルンビニおよび周辺地域における仏教遺跡の成り立ちと現状把握、②これまでの保全の取組とその評価、③仏教遺跡が直面する現代の課題分析、④仏教遺跡および周辺に関する包括的な保全計画のあり方の研究、である。 このうち、①は主として平成24年度に終了しているほか、②および③に関する予備的な調査を行った。平成25年度においては②および③に関して、集中的な調査を実施したほか、④に関して,予備的な調査を行った。具体的な内容は以下の通りである。 ②に関して、ネパールの国内法においてルンビニの保全整備を効果的に実施する施策に関して、ユネスコネパール事務所ならびにネパール政府考古学局への実態調査を実施し、現在進行中であるアジア開発銀行による観光関連の融資事業の影響が大きく、これをいかに保全整備に活用できるかという計画フレームの作成が重要であることを各関係者が一様に理解し、そのための調整を本研究と平行して始めていること。そのための調整役を東大チームが担っていることによって、おおきく保全整備の推進に実質的に貢献していることを明らかにした。また、ルンビニ周辺地区に間知る同様の取組については、実態調査を開始したが、ユネスコの日本信託基金による第二期事業の開始が当初予想の平成25年7月から1年ほど遅れることとなり、詳細の調査は次年度へ持ち越しとなった。 ③に関して、ルンビニ及び周辺地域の市街地開発の状況に関しては、包括的な状況把握がおこなわれ、インド国境からの工業生産品製造の圧力が高く、環境問題が発生していることが明らかとなった。インフラ整備に関しては、アジア開発銀行の融資事業の進捗に伴い、沿道の市街化が東側より徐々に進行している様子が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユネスコの第1期事業が平成25年7月までであり、そのためにネパール政府考古学局もまた、カウンターパートのイギリス、イタリアのチームも日程的な最終目標が設定されたため、作業の落ちこぼれがなくなったからである。 ただし、平成25年7月以降は、それぞれの構成メンバーは、独自予算での作業を実施しなければならず、研究作業自体は進んでいるものの、各チーム間のコーディネート作業が必ずしも順調ではなくなっている。 しかし、日本チーム内では本研究目標を達成するための自律的な研究作業には支障を来しているわけではない。むしろ、ネパール政府考古学局側に資金的余裕が乏しいため、現地スタッフに余力がないことがやや問題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は研究の最終年度であるので、4つの研究分野のうち、④の仏教遺跡および周辺の関する包括的な保全計画のあり方研究を行う予定である。その成果として、ルンビニを含む広域の保全計画の提案をおこない、その中の重要地区の具滝的な保全整備施策を提案する予定である。 そのために、平成25年度においてインド国内の主要仏教遺跡3箇所の予備調査を行った。その成果を活かし、さらにブータン国内の主要仏教遺跡の保全整備施策も参考にしつつ、ルンビニ広域圏の保全整備計画を提案し、それを一般化した散在する仏教遺跡群を面として保全整備するための方法論の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
ルンビニ及びインド北部への現地調査を3人で2回実施し、同時に資料収集を行う予定であったが、現地調査参加者との日程調整が上手くいかず、予定よりも現地調査参加者が少なくなってしまったためである。 最終年度でもあるため、十分な現地調査・資料収集を行い、散在する仏教遺跡群を面として保全整備するための方法論の確立を目指す。
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