研究課題/領域番号 |
24404023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉松 治美 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90436577)
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研究分担者 |
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
水野 勝紀 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (70633494)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 淡水棲イルカ類 / ガンジスカワイルカ / ビイオソナー / PMS / クリック音 / ICI / CF解析 / データベース |
研究概要 |
インドのデリーから南東約100kmに位置するナローラ付近を流れるガンジス河のホットスポットに設置した既存の定点長期リアルタイム音響生態観測システムを基にして、計測の高精度化と観測流域の拡大とを図り。気象変動や人間活動に起因する河川環境変化のガンジスカワイルカの生態に与える影響を評価するための環境計測により観測の総合化を図るため、平成24年度には、棲息流域内でのイルカ行動の総合的理解のために、以下の研究を推進した。 ・10kmにわたる棲息流域を往来するイルカの3次元位置情報を広範囲にわたり取得するため、既存6素子ハイドロフォンアレイシステムの別に新たに6素子ハイドロフォンアレイシステム(共通スペック)を開発、2012年11月より同時に試運用を開始、2013年4月現在、観測を継続中である。双方のアレイの時刻同期を取ることで、各観測システム間を行き来するイルカの特定ができる観測システムの基礎を開発した。 ・リアルタイムデータ転送システムを利用してデータベースを構築、イルカデータ、環境データ、録音システムログデータを1時間毎にアップロードすることで、日本にいながらインドで計測中のデータを解析することを可能とした。 ・取得したイルカの音響データのICI(Inter-Click Interval)解析と目視情報との総合により、生まれて6ヶ月程度のガンジスカワイルカのクリック音の音響特性を解明するとともにクリック音の特徴を利用した子供のイルカの自動発見アルゴリズムを開発しデータベースに付加した。 ・棲息流域の河底底面の詳細な観測および環境変化に適応して行動するイルカのエコーロケーション戦略を高精度に解明するため、イメージングソーナー(音響カメラ)を導入、音響データとのマッチングにより、イルカがイルカ道として選択する河底地形に関する情報およびかイルカが滞留傾向を示すホットスポットにおける棲息魚類の種類と個体数および時系列的な情報を定量化するための基礎データを取得した。イルカ行動と環境変化および生態系に関する基礎計測データの総合により、日々変化する環境の中でイルカがエコーロケーション戦略をどのように駆使してその行動を決定しているか、イルカ行動の変化と環境変化との関係を定量的に評価するため解析を進めている。 -さらに、別課題で開発中の曳航式小型ハイドロフォンアレイによるイルカのリアルタイム分布調査システムを開発し、2012年11月、試運用を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
リアルタイムデータ転送システムを利用したデータベースを構築しより、イルカデータ、環境データ、録音システムログデータを1時間毎にアップロード、さらにフィルタリング機能、ICIやCF解析機能を付加することで、現在進行形のデータの高精度解析することが可能となった。また、音響カメラの導入により観測場所の環境のみならず生態系を理解することが可能となり、総合的システムの構築が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
2式のハイドロフォンアレイによる時刻同期システムを開発し、イルカ行動の長距離に渡る追跡を可能とする。音響カメラによる生態系情報取得とともに河底地形マッピングを行い、周囲環境とイルカ行動との関係の詳細を理解する。イルカのクリック音高精度解明のため、6素子アレイの別に10素子アレイを展開、イルカのクリック音の3次元ビームフォーミングを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
・2013年11Aから開始する長期音響モニタリングの運用経費 ・観測のための機器輸送、消耗品類 ・現地への旅費
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