研究課題
申請した研究計画に沿って(1)平成26年度の研究調査に関する準備会議をおこない運営委員会を設置した,その後(2)これまでの調査で得られた物理探査データ,コア採取地点位置情報,コア化学分析および土質試験結果より得られた特徴などをあわせて平成26年度の物理探査およびコア採取候補地点の決定をおこない,これらに基づく(3)フィールド調査計画案(調査船傭船日程,事前準備日程,参加者,作業内容等)について,海外共同研究者(ロシア,ベルギー)および国内共同研究者(北見工大)と決定した.これらの研究計画に基づき,平成26年8月17日から8月26日までバイカル湖ククイキャニオンおよび比較参照のための泥火山および湧出域にて研究調査を実施した.その結果,重力コアラーによってガスハイドレートを含有する湖底表層堆積物コアの採取に成功した.昨年の調査では新たに5箇所でガスハイドレート存在サイトを発見した.採取後のコア試料は,研究計画に沿って,調査船内にて直ちに分割してガスハイドレート解析用,間隙水採取用などの試料をサブサンプリングした.ガスハイドレート結晶解析用試料は液体窒素温度で保存した.土質試験は調査船内およびロシア科学アカデミー陸水学研究所(イルクーツク市)で実施した.これらは全て交付申請書に記載した計画および運営委員会での研究計画に沿って実施した.ククイキャニオンの堆積物には,湖水の化学分析および文献報告のある典型的なバイカル湖底表層堆積物の化学成分とは異なる化学組成の間隙水があることが本研究の化学分析結果より明らかになった.ククイキャニオンにおけるガスハイドレート生成起源水が堆積物深部から湧昇した可能性が示唆された.平成26年に学術専門誌に発表した結果との比較考察を含め,平成27年度調査結果とあわせて,ククイキャニオンでのガスハイドレート生成環境を明らかにし生成機構を解明することが期待される.
2: おおむね順調に進展している
申請した研究計画に沿って,(1)研究調査に関する準備会議をおこない運営委員会を設置し,(2)既存の物理探査データ,コア採取地点位置情報,コア化学分析および土質試験結果をあわせて物理探査およびコア採取候補地点の決定をおこない,(3)フィールド調査計画案(調査船傭船日程,事前準備日程,参加者,作業内容等)について,海外共同研究者および国内共同研究者と会議のうえ決定した.調査に用いた調査船と湖底堆積物コアを採取するための重力コアラーも,研究計画に沿って準備をおこなった.計画に沿った調査を実施した結果,5箇所で新たにメタンハイドレート存在サイトを発見したこと,採取した堆積物コア試料およびメタンハイドレート試料の測定で新たな知見が得られたこと,学術論文誌および国内外の学会にて研究発表をおこなったことから,交付申請書の目的に対する達成度はおおむね順調といえる.
平成26年度調査で新たに発見したククイキャニオンの泥火山において,詳細な物理探査をおこない湖底状態の確認をおこなう.その上で,湖底堆積物採取コアリング調査をおこなう.得られた堆積物試料は,交付申請書に沿って化学分析(ガスおよび水)および土質分析に供する.これまでに得られたククイキャニオンの他の泥火山のそれらの分析結果と比較をおこなう.バイカル湖中央湖盆の北部で堆積物コア採取をおこない,それらを化学分析および土質分析して中央湖盆ククイキャニオン堆積物コアとの比較をおこなうことによって,ククイキャニオン域のガスハイドレート存在サイトの特徴の抽出をおこなう.当初の申請研究計画に沿って,堆積物コア中および間隙水中での水およびガスの移動および混合とガスハイドレート産状との関係より深部構造の把握を試みる.
平成26年度調査では,研究調査費用が当初の予定金額よりも安価で実施できたため,未使用額が発生した.
平成27年度の調査では,研究発展のために研究調査域を広げる計画があり,その費用に充てる予定である.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 1件)
Geo-Marine Letters
巻: 34 ページ: 241-251
DOI 10.1007/s00367-014-0364-4