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2012 年度 実績報告書

中国内蒙古草原生態系の炭素・窒素収支の評価および再生技術の創生

研究課題

研究課題/領域番号 24405003
研究種目

基盤研究(B)

応募区分海外学術
研究機関高知大学

研究代表者

康 峪梅  高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (70284429)

研究分担者 小崎 隆治  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (00144345)
伊ケ崎 健大  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (70582021)
川本 純  京都大学, 化学研究科, 助教 (90511238)
三原 久明  立命館大学, 生命科学部, 准教授 (30324693)
角野 貴信  鳥取環境大学, 環境学部, 講師 (50511234)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード中国 / 内蒙古 / 草原生態系 / 炭素 / 窒素 / 微生物
研究概要

中国内蒙古自治区ホロンバイル草原土壌における炭素・窒素循環機構の解明を目的とし,2012年夏に当該地域を調査し,草原土壌および退化土壌試料を採取した。今回採取された低温適応性の土壌細菌は,いずれもPseudomonas属細菌に属することがわかった。また,リボソームタンパク質生産パターンに基づく系統解析から,今回単離された低温菌群は,退化土壌から単離された菌株のみで構成されるクラスター,80%程度を草原土壌に由来する低温菌群で構成されるクラスター,退化土壌由来と草原土壌由来の低温菌群が約50%ずつ含む3つのクラスターに大別されることがわかった。これらの結果は,草原土壌と退化土壌では微生物相が異なることを示しており,それぞれに特徴的に生産されるタンパク質,およびそれらをコードする遺伝子を同定することで,草原土壌の診断,および退化度合いを評価する指標となる可能性を示唆している。
また,ホロンバイル草原において牧畜や観光活動が土壌呼吸量に与える影響を評価するために,土壌呼吸量を密閉チャンバー法にて測定した。土壌呼吸量は対照区>採草区>放牧区となり,根呼吸を含む土壌呼吸量では採草区で対照区の92%,放牧区で対照区の69%となった。根呼吸を含まない土壌呼吸量でも採草区で対照区の96%,放牧区で対照区の66%と,似た傾向を示した。以上より,採草利用ではほとんど土壌呼吸量に影響がみられないものの,放牧利用では土壌呼吸量が顕著に低下することが分かった。観光地A(利用圧:高)では利用区で非利用区に比べて土壌呼吸量が低くなったものの,観光地B(利用圧:低)ではその傾向はみられなかった。これらのことから,利用圧の低い観光利用は土壌呼吸量に大きく影響しないことが明らかとなった。今後は,一年間に土壌へ投入される地上部および地下部のバイオマス量の解析を進め,牧畜および観光活動が草原生態系での炭素収支に与える影響を評価する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H24年度は予定通り、中国内蒙古自治区で草原生態系に関する現地調査を行い、土壌、植生の試料を採取した。現在分析を行っているところである。また、現地に二酸化炭素測定装置を設置し、草原において牧畜や観光活動が土壌呼吸量に与える影響を評価した。このように本研究は当初の計画通りに順調に進展している。

今後の研究の推進方策

ホロンバイル市から通遼市にかけて,広域の草原退化域を選定し,それぞれ現地調査と試料分析を行うことによって、広域の草原退化過程における炭素・窒素収支の変化と微生物特性を評価する。

次年度の研究費の使用計画

二酸化炭素固定菌に関する実験は大学内の専用施設を使うため、予定より遅れており、当該助成金が生じることとなった。当該助成金をH25年度の研究費と合わせ、引き続き微生物のDNA解析や旅費などに使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 中国内モンゴル自治区フルンボイル草原において小規模観光地が植生に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      斯日古楞・曹楽・伊ヶ崎健大・角野貴信・小崎隆
    • 雑誌名

      観光科学研究

      巻: 6 ページ: 53-59

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of grassland degradation on soil and vegetation characteristics in Inner Mongolia, China.2012

    • 著者名/発表者名
      Yumei KANG
    • 雑誌名

      Pedologist

      巻: 55(3) ページ: 332-342

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatiotemporal variability of net primary production over the past half century in Inner Mongolia grassland of China.2012

    • 著者名/発表者名
      Guogang Zang, Xiaodan Li, Yumei Kang, Guodong Han, Hongmei and Katsutoshi Sakurai
    • 雑誌名

      Journal of Food, Agriculture & Environment

      巻: 10(2) ページ: 1168-1173

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.kochi-u.ac.jp/seimei/pickup/604.html

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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