研究課題/領域番号 |
24405004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50332474)
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研究分担者 |
池中 良徳 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (40543509)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アフリカ / 環境汚染 / 産業動物 |
研究概要 |
近年、アフリカ諸国では急激な資源開発が行われており、産業動物の著しい化学物質汚染が進行し、食の安全に関する各国の懸念は深刻である。アフリカにおける環境汚染のデータ基盤の確立は必須であり、同時に、高次動物に関して、非侵襲的に化学物質による病態を鋭敏に把握する為のセンシング技術の開発が求められている。そこで、本研究では、アフリカ諸国における環境汚染物質の網羅的解析を来ない、リスク物質をリスト化し、また、化学物質による毒性学的影響をフィールドにおいて明らかにすること、それらを検出する為のセンシング技術を開発すること、を目的とした。平成24年度は、南アフリカおよびザンビア、ガーナ、エチオピアに渡航し、各2週間程度のサーベイランスを行った。南アフリカでは国立公園における魚に高濃度のDDT汚染を検出した。またザンビアでは家畜であるウシやニワトリのサーベイランスにより、一部の地域でこれらの動物が非常に高濃度の鉛に汚染されていることが明らかとなった。バイオマーカーとなるメタロチオネインなども誘導されていることが分かった。そこでヒトにおけるサーベイランスを実施したところ、ヒトにおいても高濃度の獣金増の蓄積が認められた。高濃度に汚染された特にニワトリについては、統括獣医師への報告を行い、緊急にその流通を停止している。ガーナにおける家畜の汚染は予想よりも低く、環境試料より検出されたヒ素の汚染は生物サイクルには入っていない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に研究体制が構築されていることから、初年度より各国におけるサーベイランスが可能となった。南アフリカやザンビアに関して、予定通り有機ハロゲン化合物や重金属類の動物の汚染を明らかにし、ザンビアでは実際に流通を停止する等の社会的な貢献も果たしている。さらにガーナやエチオピアなどにおける調査も進めており、研究はおおむね順調に進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
計画の変更はない。予定通りアフリカ諸国におけるサーベイランスを実施する。一部、家畜以外に野生動物に関しても歩環境汚染の哨動物としての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者らが研究用試料を日本に送付するなどし、現地への渡航回数が予定よりも少なかったため、直接経費を一部次年度に繰り越すこととなった。平成25年度は予定通り、エチオピアやガーナにも渡航し、生体試料に関して、生化学的解析やバイオマーカー解析(メタロチオネイン、CYP、免疫系マーカー、iNos)、DNA付加体や対象遺伝子の遺伝多型などのゲノム解析、病理組織学的解析を行い、環境汚染物質の蓄積との関連性について明らかにする。
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