研究課題
近年、アフリカ諸国では急激な資源開発が行われており、産業動物の著しい化学物質汚染が進行し、食の安全に関する各国の懸念は深刻である。実際、これまでの我々の予備的調査でも、WHOの勧告を上回る食肉の汚染物質の蓄積が明らかとなりつつあり、また、有害金属の汚染、オイル、農薬などの明らかな環境化学物質の急性中毒による家畜の集団死が頻発している。ヒトへの被害や汚染の拡散を事前に防ぐための歩哨動物として、産業動物のモニタリングは非常に重要である。また、アフリカはこれまでの地下資源依存のモノ経済から農産物輸出へのマルチ経済へと移行を目指しており、アフリカ諸国における食の安全の欠如は、アフリカが新たな食の汚染源となる可能性は十分に考えられる。アフリカにおける環境汚染のデータ基盤の確立は必須であり、同時に、高次動物に関して、非侵襲的に化学物質による病態を鋭敏に把握する為のセンシング技術の開発が求められている。そこで、本研究では、アフリカ諸国における環境汚染物質の網羅的解析を来ない、リスク物質をリスト化し、また、化学物質による毒性学的影響をフィールドにおいて明らかにすること、それらを検出する為のセンシング技術を開発すること、を目的とする。本年度は南アフリカ、エチオピア、エジプト、ケニア、ガーナ、ザンビア、ナイジェリアの各研究機関と環境汚染に関するモニタリング調査を行い、環境、動物および人の化学物質汚染の実態を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
当初渡航を予定していたアフリカ諸国よりもさらにモニタリング対象を広げ、研究ネットワークを構築することができた。またこれまで動物に関する環境汚染データはほとんど報告されてこなかったが、本研究により、家畜および野生動物の環境汚染の状況が明らかになりつつある。研究の継続により、当初目的としているアフリカにおける環境汚染の網羅的解析を達成することができると考え、当該評価とした。
研究計画に変更はない。前述した7か国を中心に環境汚染の解析を継続して行う。特にアフリカでは重金属類及び有機塩素系農薬の汚染が、他地域に比較して際立っていることから、これらの化学物質を中心とした解析を進める。
次年度使用額2339円の研究費については、物品費としてすでに使用済みだが、支払いが翌年度となった。執行済みである。
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