研究実績の概要 |
中央アジアでは,数カ国にまたがって流れているシルダリア、アムダリアの2つの国際河川の河川水を用いて乾燥地で大規模灌漑農業を行っている。その結果、2つの川から流入のなくなった世界第4番目の湖、アラル海は、急速に縮小し、50年間で10分の1になり、世界的な環境問題として知られるようになった。浅層地下水や潅漑水に、重金属類の濃度の高い地域があることが解った。しかし汚染源は、全く明らかとなっていない。けれども、潅漑水による中央アジア全域への汚染拡大により、農作物から、人体を始めとする生態系に悪影響を与える可能性が非常に高い。しかし、中央アジアの乾燥地域における、農地による放射性元素や、重金属の汚染拡大についての研究報告は、非常に少なく汚染経路を経てきたのか明らかとなっていない。そこで、放射性核種を含む重金属による地下水汚染について研究を行った。 その結果、リン肥料に含まれるウランにより浅層地下水が汚染され、一部の飲料水としても使用されている地下水の汚染が進行していることが、明らかとなった。 また、世界第4位の湖面積を誇ったアラル海が、中央アジアの大規模灌漑農業の影響により10分の1にまで縮小していることから、アラル海の水質がどのように変化したかを調査した。その結果、我々が1994年に行った調査と比較して、塩分濃度は上昇しているが、主要イオン濃度の割合に変化が出たことがわかった。特に、Na, Clの割合が上昇し、海水の比率に近くなったことが明らかとなった。これらの研究成果をまとめて、2017年3月6日から10日までインドで開催された11th Asia Pacific Conference on Sustainable Energy & Environmental Technologies (APCSEET 2017)で発表した。
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