研究課題/領域番号 |
24405007
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
奥田 昇 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (30380281)
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研究分担者 |
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
小島 久弥 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70400009)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタン酸化細菌 / メタン栄養食物網 / 炭素リサイクル / 嫌気的メタン酸化 / NC10 / 安定同位体混合モデル / 脂肪酸分析 / 反応-拡散-移流モデル |
研究実績の概要 |
これまで本研究グループは、亜熱帯に位置する台湾・翡翠水庫の冬季の気象条件が湖内のメタン動態およびメタン酸化細菌叢を大きく左右することを明らかにした。しかし、夏季から秋季に発生する台風の頻度や規模は、温度成層の物理的かく乱要因としてメタン栄養食物網に影響を及ぼすと予想される。そこで、平成27年度は、夏季の台風一過がメタン動態やメタン酸化細菌叢に及ぼす影響を調査することを目的として、8月、12月、3月に溶存メタン濃度とメタン酸化細菌叢の鉛直プロファイル(0、10、30、50、70、90、100m)を調べた。 観測の結果、大型台風の直撃は湖水混合を引き起こし、深水層の貧酸素化をリセットした。大型台風が通過しなかった2013年の同時期と比べると、深水層の高濃度メタン水塊が夏季にも関わらず完全に消失することが明らかとなった。このため、深水層の溶存メタン濃度がピークに達する成層期終盤の12月においても溶存メタン濃度の増加が観察されなかった。 同年12月のメタン酸化細菌叢の鉛直プロファイルを調べたところ、水深100mの最深部から還元的メタン酸化をおこなうNC10の顕著なピークが観察された。昨年度までの調査結果では、本湖沼のNC10が還元的な深水層に特異的に出現することを報告した。しかし、今年度の結果は、NC10の基質となる溶存メタンが適度に存在すれば、NC10は増殖可能であることを示唆する。NC10はメタン酸化の電子受容体として溶存酸素ではなく、亜硝酸の酸素分子を利用する。台風一過に伴って深水層の貧酸素化が解消されたことにより、最深部の硝酸・亜硝酸が枯渇することなくNC10の増殖に寄与したと考えられる。興味深いことに、冬季鉛直混合により深水層のメタンが消散した後の3月には、最深部のNC10のピークが消失した。NC10の消長は、メタンと亜硝酸濃度のバランスによって決定されると示唆される。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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