研究課題/領域番号 |
24405008
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 哲 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80271005)
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研究分担者 |
中村 雅彦 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90272880)
長谷川 雅美 東邦大学, 理学部, 教授 (40250162)
堀 道雄 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (40112552)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生態学 / 行動学 / 進化 / 爬虫類 / 鳥類 / マダガスカル / 盗聴 |
研究概要 |
本年度は現地の雨期である10月から3月にかけて渡航し、これまで研究を進めてきたマダガスカル北西部に位置するアンカラファンチカ国立公園内のアンピジュルア落葉乾燥林を中心に調査を行なった。渡航者は森、中村、堀で、さらに研究協力者として大学院生またはポスドクが合計4名渡航した。また、現地調査補助を兼ねてアンタナナリブ大学の院生5名が調査に加わった。一方、ラヌマファナ、マルミザハ、ベマラハ、アンブル山、アンドリニツァ、アンカラナ、イビティをそれぞれ短期間訪れ、鳥類、トカゲ類、昆虫類の社会生態および行動の比較研究のための予備的調査を行った。 アンピジュルアでは、本計画であげた3つの問いである、1)情報盗用には経験がどれくらい関与しているのか、2)情報の内容をどれくらい判別できるのか、3)捕食者相や群集構成が異なる地域でも情報盗用が見られるのかのうち、1)を特に重点的に行なった。これまでに盗聴行動を確認しているキュビエブキオトカゲ及びヒラオ-オオカタトカゲを対象として、孵化個体、1歳の未成熟個体、および、成体に対してマダガスカルサンコウチョウの警戒声のプレイバック実験を行い、それらの盗聴行動をビデオ撮影した。ビデオ映像は現在解析を続行中であるが、幼体の反応には個体差があること、成体における反応は同じアンピジュルア内でも場所により違いが見られる可能性があることを示唆する結果が得られつつある。 問いの2)に関しては、サンコウチョウの警戒声と、キツネザルの仲間であるシファカが発する二種類の警戒声をプレイバックし、それらに対する反応の違いを解析中である。一方、問いの3)については、対象種の個体数の多さや行動観察のしやすさにおいて、比較対象として適した調査地を探索中であるが、条件を十分に満たす場所は見つかっておらず、今後の対策を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つ目の目的である「捕食者相や群集構成が異なる地域でも情報盗用が見られるのか」を解明するための適切な調査地の選定にやや手間取っている。また、1つ目の目的である「情報盗用には経験がどれくらい関与しているのか」を明らかにするために、トカゲの卵を現地で採集し、日本へ持ち帰って孵化させ、室内実験下で幼体の反応を調べる計画であったが、トカゲ卵のマダガスカルからの持ち出しの許可申請取得手続が非常に煩雑化しているため、この方法は断念せざるを得なかった。これらのことから、計画よりも進行はやや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には交付申請書の予定に従って進める。ただし、目的1)に関しては、日本へのトカゲ卵の輸出を取りやめ、現地で産卵、孵化を試み、半野外実験を行う。これはアンタナナリブ大学の院生の協力を得て行う。目的3)については、これまでの調査により、アンピジュルア内において捕食圧の異なる場所が存在することが示唆されたので、これらの地点間での比較調査を実施する。これと合わせて、他の比較候補地域の検討も継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)研究代表者の渡航時期を大学での予定外の用務のためにずらさざるを得なくなり、その結果、滞在期間を予定よりも短くせざるを得なかったため。 2)アンカラファンチカ国立公園に無料配布する予定で作成中の「アンピジュルア爬虫両棲類ガイドブック」の作成が予定よりも遅れたため、印刷費や輸送費の執行に至らなかったため。 1)研究協力者を含め、現地調査期間を十分にとり、遅れを取り戻す。 2)「アンピジュルア爬虫両棲類ガイドブック」を完成し、印刷、配布する。
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