研究課題/領域番号 |
24405012
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
堀 正和 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (50443370)
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研究分担者 |
小路 淳 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
仲岡 雅裕 北海道大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90260520)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 群集生態 / 海洋保全 / 環境変動 / 生態系サービス / 生物多様性 / 生態系機能 / 移入種 / 沿岸域 |
研究概要 |
我が国からの基盤種が多く侵入している北米西海岸のアマモ場生態系を対象に現地調査を行い、移入先での在来種との機能の違いや、移入元と移入先での環境の違いによる生態系機能の変異について、我が国で得られたデータと比較・統合解析することで、環太平洋全域を対象としたアマモ場生態系機能・サービスのマクロスケールでの変異、および局所的な環境変動や移入種等の要因による変異を解明することを目的としている。 本年度はカナダブリティッシュコロンビア州Tsawwassen Bay、ワシントン州Willapa Bay、オレゴン州Yaquina Bay、カリフォルニア州北部Bodega Bay、カリフォルニア州南部SanDiego Bayを対象に現地協力者と共同調査を行った。これらの調査海域のうち、Tsawwassen, Willapa, Yaquinaが日本からの主要移入種であるマガキ・アサリ・コアマモ類が侵入した海域であり、Bodegaが移入種が全く侵入していない海域、SanDiegoはホトトギスガイが侵入した海域となっている。すべての海域において、昨年度に引き続き天然アマモ群落、移入種を含むアマモ群落を対象にアマモ群落密度測定、小型無脊椎動物および魚類群集の採集を行った。また、各海域に日本からの主要移入種の分布状況に関して現場視察および文献等により情報収集を行った。その後、これらのサンプル・情報のデータ化を行うとともに、侵入種の分布状況について整理を行った。その結果、主要侵入種であるコアマモは北限・南限ともに、マガキ種苗による人為的導入海域を超え、自然分散により伸長していることが明らかとなった。また、マガキを導入した海域ほど動物群集の現存量が高いことに加え、日本とは別種で構成された生物群集であるにもかかわらず、類似した機能群構造を形成することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に計画していながら実施できなかった調査海域を含め、本年度までに予定していたすべての海域で現地調査および情報収集を完了することができたため、調査に関しては順調に進展している。その反面、調査を行った海域が本年度は多くなったため、データ化とその後の解析に若干の遅れが生じた。しかしながら、次年度はすべてのデータをそろえた段階から、研究計画にある比較解析を行うことができるため、直ちにこの遅れは解消できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査・解析により日本からの移入種の分布状況に関して詳細な結果を得ることができたため、次年度はその情報をもとに仮説検証に必要なデータ補強を行い、本格的な解析を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外での現地調査のため、旅費および現地で機材運搬・移動に用いるレンタカー費用など、為替・相場の変動の影響で使用額に変更が生じた。そのため、旅費・その他の費用に物品費などから科目変更で予算を当てたが、助成金においてその差額分が次年度使用額として残ることとなった。 次年度も現地調査を行うことから、本年度と同様の為替・相場の変動の影響が生じることが予想されるため、その差額に使用する。
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