私たちはハツカネズミ(Mus musculus)の進化史理解のため、第8染色体上の毛色関連遺伝子Mc1rを含む近隣7遺伝子のハプロタイプ構造の解析を行った。その結果、3亜種グループの中東・インドにおける自然分布域を特定するとともに、インド亜大陸内の亜種castaneusが空間的に2系統存在することを明らかにした。また、歴史的放散前に亜種内、亜種間の遺伝的交流が存在したことも判明した。さらに。この遺伝子領域のうち、Mc1rにおいて塩基多様性のレベルの著しい低下があり、選択的スイープ現象の存在が示唆され、Mc1r遺伝子への自然淘汰の関与があったと考えられた。
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