研究課題/領域番号 |
24405017
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 敏充 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50260592)
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研究分担者 |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハポン姓 / 日本人 / ゲノム解析 / スペイン / Y-STRs / コリア・デル・リオ / 遣欧使節 |
研究概要 |
平成24年11月の初の現地調査で、実際にコリア・デル・リオに赴き、ハポン協会会長Juan Francisco Japon、コリア・デル・リオ市長Jose Vicente Franco Palenciaと名刺交換をし、DNA解析の話題を提供した。また、セビリア市で開催された第15回日西シンポジウムに参加しながら、在スペイン日本大使をはじめとする日本大使館員などに本研究の開始を伝えるとともに、「ハポン姓」の歴史的研究の第一人者であるアンダルシア国際大学学長Juan Manuael Suarez Japonとも名刺交換し、次期訪問での研究説明などを伝えた。 平成25年2月の2度の現地調査では、アンダルシア国際大学学長への表敬訪問・会見では、分子生物学者で副学長のLioret教授同席のもと、今後の予定とDNA解析の説明を行い、研究参加・協力の了解を得た。また、現地研究協力者であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学Caraccedo教授にセビリアまで来ていただき、この研究の背景の説明及び教授が疑念していた採取方法を説明し、スペイン語でのインフォームド・コンセント及びDNA抽出などの研究協力の了解を得た。その後、コリア・デル・リオに同行していただいて、ハポン協会会長への表敬訪問を行い、研究の主旨及び解析方法の説明を行い、会長の本研究に対する全面協力の了解を得た。さらに、研究分担者である斎藤教授とコリア・デル・リオ市長への表敬訪問・会見を行い、研究の主旨・方法及び予定している採取方法などの説明を行ったところ、伊達泰宗氏の来訪・講演の設定、支倉常長一行を歓待したメディナ・シドニア侯爵家の末商の講演依頼・設定、市内ハポン姓の人々への講演会通知・呼び掛け、講演後のハポン姓の人々への血液採取場所の提供、血液採取の医者・看護士の手配等、本研究に対する全面協力の了解を得た。その後、採取予定場所である、400名収容できる市の文化センターの下見を行った。 このようにして、本研究を遂行するための最大課題である試料を採取するための研究協力体制を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全く協力体制ができてない状態から研究開始を開始したが、この1年間での2回の現地調査で、コリア・デル・リオにおけるハポン協会、及びハポン姓の中で一番古くから歴史的調査を行っているアンダルシア国際大学学長、さらに、スペインでの研究協力者であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のカルセド教授との問で、この研究に対する理解を得て、協力体制を確立することができた。また、現地行政機関の長であるコリア・デル・リオ市長には、試料採取のための会場・人員手配など積極的な協力の確約を得ることができた。当初予定していた試料採取は1年ほど遅れてしまったが、確立された協力体制を見ると、ほぼ順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力体制は整ったので、本年度は、ハポン姓のできるだけ血縁関係のない男性から、実際に血液採取を行い、現地で、DNA抽出を行った後、DNA試料を日本に搬送する。Y-STRsのハプロタイプ解析など一部のDNA解析を行う外、ゲノムワイドのSNPs解析の準備を始める。また、対照試料である仙台地方に土着性の高い家系の男性試料を採取するための情報収集・実際の収集を開始する。次年度、及び採取年度で仙台地方での対照試料の収集を終え、ゲノムワイドのSNPs解析を完了する。スペイン対照データを併せて、集団遺伝学的解析を行い、採取したハポン姓の人々の中に、日本人あるいは、東アジアの人々の遺伝的要素が含まれているかどうかの最終結論を下す。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)昨年度2度の現地調査及び研究協力要請により、研究協力体制が確立し、実際に試料採取が可能となったので、新たに名古屋大学医学部倫理委員会に申請し、承認を得る。 2)5月に、仙台に行き、伊達泰宗氏への経過報告及び要請を行い、6月に、実際に現地に行き、10月あるいは11月に行われる本採取のための準備・予行演習を行う。 3)10月(場合によっては11月)に本格的に採取する。研究協力者である伊達泰宗氏を現地で講演することにより、ハポン姓の人に集まってもらって、そこで、インフォームド・コンセントをとり、血液を5ml採取する。採取後、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学でDNA抽出を行う。真空乾燥品を、日本へ輸送する。 4)搬送DnA試料を山本が定量し、AmpFlSTRYfilerキットを用いて、17座位のY-STRsのハプロタイプ解析を行う。 5)DNA試料の一部を連携研究者である東京大学医学系研究科人類遺伝学教室徳永勝士教授の研究室に搬送し、90万個の常染色体上のゲノムワイドなSNPs解析のための準備を始める。
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