研究課題/領域番号 |
24405020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
藤田 尚 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40278007)
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研究分担者 |
鈴木 隆雄 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 研究所, 所長 (30154545)
庄田 慎矢 独立行政法人奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50566940)
川久保 善智 佐賀大学, 医学部, 助教 (80379619)
針原 伸二 東京大学, 理学系研究科, 助教 (40198932)
大野 憲五 東北大学, 医学研究科, 技術職員 (00635568)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自然人類学 / 韓国 / 古病理学 / DNA分析 / 3次元計測 |
研究概要 |
24年度は、まず古人骨を所蔵し、本研究を許可してくれる研究機関を分担者の庄田を中心に進めた。その結果、ソウルの漢江文化財研究院の協力を得、4つの研究機関で、主として朝鮮王朝時代の古人骨を調査することができた。いずれの研究機関でも、古人骨は未調査のまま土が付着している状況であった。韓国では比較的新しい古人骨は、考古学・人類学の研究対象になっていないようである。そのため、今後の継続性を考慮し、各研究機関に、古人骨からどのような情報が得られるか、を提示し、今後なお一層の協力関係を構築することが、必要であると判断された。各研究機関に1日しか滞在できない厳しい研究条件の中、大野は頭蓋骨の3次元計測、藤田は、口腔領域の古病理、針原はDNA鑑定のための骨片採取などに努めた。また、ギリシャからニア博+に研究協力者として、訪韓してもらい、全身骨格の病理所見を取得した。これらは、いずれも短いものながらレポートを作成し、漢江文化財研究院の研究者から、それぞれの研究機関に送られた。本研究は、これまで日本の縄文時代や弥生時代相当の人骨を調査してきた日本・韓国の研究チームの成果をベースにしながらも、そこから韓国北部の古人骨にアプローチするという全くこれまでなされていなかった研究と、古い時代に限らず、朝鮮王朝時代の古人骨も積極的に調査し、韓国内での人骨形質の時代的変遷や地域差などにも踏み込んだ研究を目指している。本研究の遂行には、韓国内研究機関・研究者との良好な関係構築が前提であり、今後も地道な努力を以って、研究の遂行と成果の獲得に努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国では、古い時代の人骨(日本の縄文・弥生・古墳時代に相当)は保管されるが、朝鮮王朝時代の人骨は、発掘調査で出土しても埋め戻される(遺物として扱われない・調査対象になっていない)。従って、古人骨を保管している研究機関をリストアップすること及び、調査機関が各研究機関1日と限られることなどから、韓国内研究機関へ古人骨研究の有用性を理解してもらいながら調査を進めている。そのために膨大な時間がとられている。
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今後の研究の推進方策 |
ソウル大学の人類学教室・解剖学教室の教授と親交を深めた。今後は、彼らの助力を得て、よりスピーディーな研究遂行が可能なように方策を練っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度研究の仲介をされ漢江文化財研究院との協力関係を発展させつつ、ソウル大学等の人脈を生かして、より多くの人骨を調査できるようにしていく。なお、これまで研究分担者であった橋本裕子が、自身が研究代表者を務める科研費研究に専念することとなったため、本研究の分担者を辞退した。その結果、直接経費229,027円が生じている。本経費は、研究分担者の針原伸二氏によるDNA分析に係る費用(試薬代等)や、海外からの協力研究者招聘への費用に充当し、研究の方向性に鑑みて適切に使用することとする。
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