研究実績の概要 |
ハスカップ(Lonicera caerulea)はベリー類として貴重な遺伝資源の一つであるが、世界的にその全体像は把握されておらず、環境変動下でその野生遺伝資源が失われつつある。野生種のハスカップは北半球の温帯から亜寒帯に分布し、倍数性の変異があることが知られている。本研究では、分子マーカーを用いた系統解析を行い、各地域のハスカップの類縁関係と多様性について研究を行うこと目的としている。 本年度はロシアのバビロフ研究所との共同研究をスタートさせ、L. boczkarnikovae, L. edulis, L. altaica, L. caerulea, L. kamtschatika, L. pallasii, L. stenantha および L. emphyllocalyxの系統を加えて研究を進めた。これらの材料について、フローサイトメトリーによる倍数性判定、相対的DNA含量測定およびAFLP(amplified fragment length polymorphism)マーカーによる系統解析を行った。 フローサイトメトリーの結果、L. boczkarnikova および L. edulis は全系統が2倍体、L. caerulea, L. kamtschatika, L. pallasii, L. stenantha および L. emphyllocalyx は全系統が4倍体だった。L. altaica では10系統中9系統が4倍体だったが、1系統で5倍体が見出された。 AFLP法による系統樹は5つのクラスターに分かれることが分かった。この解析結果は、概ね種と自生地を反映していたが、複数の種を内包したクラスターや異なるクラスターに分かれた L. edulis など、さらに解析が必要な部分も見出された。
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