研究課題/領域番号 |
24405025
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北島 宣 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70135549)
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研究分担者 |
山本 雅史 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00305161)
八幡 昌紀 静岡大学, 農学部, 助教 (60420353)
清水 徳朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, カンキツ研究領域興津, 上席研究員 (90355404)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 果樹 / カンキツ / 起源 / 種分化 / 伝播 / SSR解析 / 葉緑体DNA解析 |
研究概要 |
奄美諸島、沖縄本島、先島諸島、台湾、ベトナム東北部などの在来カンキツ調査を行い、103サンプルを収集した。これまでに収集したサンプルも含め、葉緑体DNA解析とゲノムDNA解析を行った。 葉緑体DNA解析では、TrnS-TnrG spacer領域について347サンプルのシークエンスを行った。その結果、16種類の多型が出現し、この領域は類縁関係の解析に極めて有効であることが認められた。シークワーサーはスンキ型に含まれ、タチバナ型とは異なった。シークワーサーのスンキ型は南西諸島に広く分布していた。台湾の山中に自生しているシークワーサーを確認したが、これも一致した。ベトナムや台湾ではヒメレモンが一般的にみられた。これらの細胞質はスンキ型と区別することができた。タチバナ型は、奄美大島から与那国島にわたる範囲で検出された。 一方、ゲノムDNA解析では20種類のSSRマーカーを用いて161サンプルのアレル解析を行った。その結果、マンダリングループ、タチバナ・シークワーサーグループ、ブンタングループ、シトロン・ユズグループに大きく分けることができた。マンダリングループ内では、コミカン、クネンボ、ポンカン、中国在来のクラスターに分けられた。 これらの結果から、タチバナの伝播やシークワーサーの種分化に関する重要な知見が新たに得られた。タチバナの細胞質は、現在のところ日本以外の在来カンキツでは確認されていないため、今後、台湾や南シナ海沿岸の詳細な調査を行う必要がある。また、ヒメレモンの細胞質タイプの分布を南シナ海地域で調査する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施予定の中国漸江省のカンキツ調査については、領土問題の影響により実施を見送ったが、来年度予定していたベトナムのカンキツ調査を実施することができたことや、類縁関係・種分化に極めて有効な葉緑体DNA領域が明らかにされ、シークワーサーやタチバナの種分化や伝播に関する新たな知見が得られたため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に実施できなかった中国漸江省・福建省の在来カンキツ調査を行うとともに、ベトナム中・南部、タイ南部、マレーシア、インドネシア、フィリッヒンの在来カンキツを調査する。とくに、タチバナ、ヒメレモンについて注目するとともに、東南アジアで種が成立したと考えられるブンタン、バヘダに注目し、在来カンキツの探索と収集を行う。
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