研究課題/領域番号 |
24405031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144346)
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研究分担者 |
大手 信人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10233199)
田中 延亮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (10323479)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱帯季節林 / 間伐 / 水収支 / 炭素収支 / チーク林 |
研究概要 |
タイ国北部のチーク人工林(18。25'N,99Q43'E,標高380m)において、強度を変えた間伐を行う間伐区と対照区を設け、間伐に伴う水・エネルギー・炭素循環観測を行い、その影響を現地観測によって評価する研究を進めた。間伐調査区は、ほぼ平坦な地形に成立する約40年生チーク人工林の中の130m×200mの区画である。これを4区分し、2区画を間伐しない対照区、弱い間伐と強い間伐をする2つの間伐区とし、間伐前の観測を行うとともに、2013年3月に1区画の間伐を行った。 間伐が木材生産を含む多面的機能に与える影響を評価するための観測項目は、樹木の直径と樹高から求める蓄積量変化、リターフォール量、地温、土壌水分、樹冠遮断量、土壌呼吸量などで、観測結果が集計整理された。本年度は特に、間伐による葉量変化の影響が直ちに生ずることが想定される林内日射量と地温について、間伐前の状態を把握する測定と解析を集中的に進めた。 落葉性の熱帯季節林の地温は、温帯に比べて気温の季節変化が小さいが、展葉・落葉の影響を受ける。 rainy seasonからcool dry seasonにかけては樹冠が閉鎖し、気温の影響を大きく受け、cooldryseason中に落葉がはじまりhot dry seasonに完全に落葉すると、林床到達日射が増加して地温は林内日射量に大きく規定される。十分に生長したチーク林では、立木密度の違いが地温に与える影響は少ない。rainy seasonにはどのプロットでも樹冠が閉鎖し、dry seasonには開放されるからである。しかし、間伐直後には展葉が進んだ時期でも葉量が減り林床に達する日射量と地温に差が出ることが予測される。 また、これまでに進めた間伐前のチーク林の蒸散、炭素吸収量を評価する観測タワーによるフラックス観測と地表面における観測結果について、2報の論文を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
間伐区の設定、間伐の実施、観測の実施と観測結果の集計整理が、順調に進められた。当初計画の2区画での間伐の実施を、1区画つつ2面にわたって行うことにした点が、主な変更点である。研究上の支障はないが、当初以上の進捗とは言えないので(2)の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
調査計画の変更点は、当初計画の2区画での間伐の実施を、1区画つつ2年にわたって行うことにし、次年度に2区画目の間伐を行うことである。本年度の1区画間伐により、現地作業の手法が確立したので、2年次に分けての間伐実施は研究実施において合理的な判断であったといえる。現地での観測計画は、当初計画と大きい変更なしに進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画の初年度での2区画での間伐の実施を、1区画つつ2年にわたって行うことにより、1年次目の調査経費に残余が生じたもので、次年度に行う2区画目の間伐の経費に用いられる。その他の経費は、当初計画と変更はない。
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