研究課題
この研究は、地球規模の気候変動や人為的な環境改変が熱帯樹木の成長に及ぼす影響を、材に含まれる放射性炭素14(14C)濃度から明らかにすることを目的としている。今年度は、(1)材の14C濃度から二次林の形成年代を特定する新しい測定手法の開発及びその精度検証、及び(2)上記(1)の手法を用いた、熱帯二次林の植生回復に影響を及ぼす要因の特定、について調査を行った。(1)放射性炭素を用いた熱帯二次林の形成年代推定マレーシア・サラワク州において、伐採後の経過年数の異なる28カ所の二次林で調査を行った。各二次林に、20×20mの調査プロットを設置した。各プロット内で最大サイズに達した個体について、成長錐を用いて木部コアを採取し、材中心部の14C年代を求めた。それと衛星画像から求めた伐採後の経過年数との対応関係を調べ、本手法の精度検証を行った。その結果、14C分析法から求めた各プロットの最大サイズ個体の推定樹齢は、衛星画像から推定した伐採後の経過年数と高い正の相関関係がみられた。つまり、14C分析により二次林の成立年代が高精度で特定できることが明らかとなった。(2)熱帯二次林の植生回復に影響を及ぼす要因の特定上記(1)で設定した28カ所の二次林調査プロットにおいて、植生(種同定、胸高周囲測定)や土壌(含水率、pH、EC、全炭素、全窒素)、林内の光環境等を調べた。その結果、14C分析によって求めた各プロットの伐採後の経過年数とバイオマス量との関係性は、明確な差が見られ、粘土質の土壌を持つ地域の二次林でバイオマス量が大きかった。また、主成分分析の結果から、攪乱後のバイオマスの回復には土壌環境(含水率やEC、全炭素・全窒素量)が大きく影響することが分かった。年数の経過とともに、二次林は原生林ほどのバイオマス量が回復することはないが、土壌条件の良い所ではより植生の回復が見込まれることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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