研究課題/領域番号 |
24405041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊谷 元 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50221940)
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研究分担者 |
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
林 義明 名城大学, 農学部, 准教授 (20454415)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱帯アジア / 牧草 / ウシ / 飼養管理 / 国際研究者交流 / 副産物資源 / ヤギ / ヤク |
研究実績の概要 |
タイにおける研究:既存の肥育牛用配合飼料を設計し、食塩部分を調味料工場から産出する調味料副生液(DML)に代替、CPおよびTDNを同等にして、代謝試験を行ったところ、DMLの添加に伴ってADF消化率が向上した(P<0.05)。また、キャッサバデンプン粕とビール工場から産出する液状ビール酵母(LBY)を組み合わせての保存・飼料化することを前提としてその発酵品質とin vitro消化試験を行ったところ、LBYの混合比率の増加に伴って、CP含量が向上し、発酵品質とin vitro有機物消化率に影響はないことが示された。フィリピンにおける研究:飼料利用が見込まれる地場資源を涼乾期と暑乾期に北部と南部から合計62種類採取し、栄養成分とin vitro消失率を分析した。大半の資源は乾物含有率が暑雨期や涼雨期(11~28%)、粗タンパク質(CP)含有率が涼乾期や暑乾期(2~11%)に最低であった。その他の成分含有率は資源により変化が異なった。Coix lacryma-jobiとTripsacum laxumのCP含有率(平均で14%と12%)、Brachiaria dictyoneuraの粗脂肪含有率(平均で8%)が他資源より高かった。4期での乾物消失率の変化は、Brachiaria brizantha(46~51%)、Brachiaria dictyoneura(41~49%)、Pennisetum purpureum(49~54%)が小さかった。いずれの消失率とも、暑雨期や涼雨期に最高を示す資源が大半で、4期を通してPaspalum atratumとPennisetum purpureumが高く、Imperata cylindricaが低い傾向を示した。ネパールにおける研究:飼料利用が見込まれる地場資源を涼乾期と暑乾期に合計75種類採取した。ムスタン郡南部における繁殖用雌ヤクの一般血液性状と血漿中ミネラル濃度から、特に血漿中アルブミンと銅の濃度が年間を通じて低いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイでは当初の予定通り飼料の保存性、嗜好性、消化性、機能性についてin vitroおよびin vivo試験により詳細な試験を行った。フィリピンでは当初の予定通りすべての時期における試料採取が終了し、採取した試料すべての栄養素分析と山羊のルーメン液を用いたin vitroでの乾物、有機物および中性デタージェント繊維の消化率を分析できた。現在、これらの結果を基に、異なる時期による成分や消化性の変化を分析中である。また、ネパールでの地場資源の試料採取は、涼乾期と暑乾期において実施できた。山岳地域における草の現存量および草質と、ヤクの放牧行動との関連性については調査結果をまとめているところであるが、それに先立って行ったヤクの一般血液性状と血漿中ミネラル濃度について成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
タイにおける研究:これまでに行われたDML、菌体タンパク、キャッサバパルプ、液状ビール酵母を用いたin vitro試験とin vivo試験の成果の取りまとめを行う。フィリピンにおける研究:採取した試料の分析の結果を基に、異なる時期での地場資源の栄養素成分とin vitro消化性の変化を分析し、学術論文を作成する。ネパールにおける研究:中部の丘陵地域でLime種またはParkote種の水牛を飼養する小規模農家を対象にした飼養状況に関する調査を継続すると共に、当地で飼料として利用する地場資源の試料採取を暑乾期に実施し、これまでに採取した試料と合わせて、栄養素成分と山羊のルーメン液を用いたin vitro消化性の分析を実施する。山岳地域における草の現存量および草質と、ヤクの放牧行動との関連性および季節による栄養状態の変化について成果の取りまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、研究分担者(廣岡博之)担当のデータ解析と研究成果の取りまとめに使用する予定であったが、期間中に終了することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度中にデータ解析と研究成果の取りまとめのために使用する予定である。
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