研究課題/領域番号 |
24405041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
熊谷 元 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50221940)
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研究分担者 |
林 義明 名城大学, 農学部, 准教授 (20454415)
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱帯アジア / 飼料資源 / 反芻動物 / 飼養管理 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
タイにおける研究:グルタミン酸発酵副生液(KPPおよびAYT)の添加が第一胃発酵特性に与える影響を粗飼料給与(実験1)および濃厚飼料多給(実験2)条件を想定したin vitro培養系にて評価した。実験1でガス発生量はAYT区が尿素区より高かった(p<0.05)。DMおよびNDFom消化率はKPP区がAYT区より低かった(p<0.05)が無添加区より高かった(p<0.05)。実験2でガス発生量はKPP区が尿素区および無添加区より高かった(p<0.05)。DM消化率はKPP区およびAYT区で尿素区より低かった(p<0.05)が無添加区と差がなかった。また、両条件でガス発生量は尿素添加に伴い低下し、添加物と添加量の交互作用がみられた(p<0.05)。以上よりKPPおよびAYTは家畜飼料の窒素源として利用可能であり、粗飼料基質条件下ではAYTが、濃厚飼料基質条件下ではKPPがよりルーメン発酵を活性化させることが示唆された。 ネパールにおける研究:ネパール中部の丘陵地域でLime種またはParkote種の水牛を飼養する小規模農家を対象に飼料利用が見込まれる地場資源として、涼乾期に採取した合計82種類の試料の栄養成分とin vitro消化率を分析した。粗タンパク質含有率はFicus glaberrimaが約16%と比較的高い一方、Oryza sativaが約2%と低かった。中性デタージェント繊維(NDF)含有率はZea maysが約96%と高く、Ficus clavataが約50%と低かった。消化率は、乾物、有機物およびNDFの消化率がZea maysで高く、Eleusine coracanaやBrassiopsis hainlaで低いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイにおける研究では、26年度に行った食塩部分を核酸系調味料副生液(DML)に代替した試験と、キャッサバデンプン粕とビール工場から産出する液状ビール酵母を組み合わせて保存・飼料化することに関するin vitro消化試験の結果を基に、学術論文を作成している。また、グルタミン酸発酵副生液の添加が第一胃発酵特性に与える影響に関するin vitro培養系による評価を順調に行った。27年度に行った26年度に行ったフィリピンにおける地場飼料資源については、異なる時期による成分や消化性の変化を分析中である。また、in vitro分析の際に得られた培養液中の揮発性脂肪酸の分析を予定している。さらに、ネパールでの地場飼料資源の試料採取は、当初の予定どおり実施し、暑乾期における試料採取ができた。現在、採取した試料の栄養成分と山羊のルーメン液を用いたin vitroでの乾物、有機物および中性デタージェント繊維の消化率の分析に向けた調整を実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
タイにおける研究では、グルタミン酸発酵副生液の添加が第一胃発酵特性に与える影響に関するin vitro培養系による評価、およびキャッサバデンプン粕とビール工場から産出する液状ビール酵母を組み合わせた発酵TMRの消化試験と成長試験の結果を論文にまとめる。フィリピンで採取した試料の分析の結果を基に、異なる時期での地場資源の栄養成分とin vitro消化性の変化を分析し、学術論文を作成中である。また、ネパール中部の丘陵地域でLime種またはParkote種の水牛を飼養する小規模農家を対象にした飼養状況に関する調査を継続すると共に、当地で暑乾期に採取した試料の栄養素成分とin vitro消化性の分析を実施する。上記の成果を含め、これまでに得られた結果を基に、熱帯アジアにおける新規飼料資源の発掘と実用化に向けたまとめを行う。
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