研究課題
本研究は人獣共通感染症に対する対策として、人獣共通感染症の自然宿主を特定し、その予防策を達成するために、医療環境が不備であるため感染症の発生状況が把握されていないザンビア共和国において、昆虫及び哺乳類動物を対象とした疫学調査を実施する。さらに、新規高効率ウイルス遺伝子探索法を開発し、疫学調査で得られた検体から、人獣共通感染症の原因となり得るウイルスを探索・同定することを目的としている。平成27年度は以下の研究を推進した。ザンビアにおいて採集した野生動物の検体を用いて、分子生物学的及び血清疫学的調査を実施した結果、ヒトに感染して天然痘様の症状を惹起するモンキーポックス(サル痘)が属するオルソポックスウイルスがげっ歯類動物、トガリネズミ、サルにおいて感染していることを明らかにした。また、野生動由来の検体から効率的に、未知・既知のウイルスゲノムを検出するために、以下の方法を考案した。野生動物の腸管から採集した糞便を溶液に懸濁した後に、フィルターで濾過・濃縮して、各酵素で処理した後に、核酸を抽出し、Ion PGM sequencerを用いて解析を実施した。得られた結果をNCBIデータベースのBLASTNを用いて照合した結果、Ion PGMを用いて取得した約624万リードのデータの内、約89.3万リードが系統分類可能な配列であった。その中で72.6万リード(81.2%)がウイルスゲノム由来、約12.4万リード(14.0%)が細菌のゲノム由来、約23万リード(2.6%)が真核生物由来であることが判明した。さらに、Virome解析により新規のウイルスを検出し、採集地域の名前をとってMpulungu Bufavirus (MpBuV)と命名した。MpBuVはトガリネズミだけではなく、野生のサルにも検出されること、アフリカのBurkina Fasoで2012年に下痢症の幼児から検出され、ヒトの胃腸炎の原因と考えられている、Bufavirusの近縁であることが分子系統解析の結果から明らかになった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
J Gen Virol
巻: 96 ページ: 390-394
10.1099/vir.0.070219-0
巻: 96 ページ: 440-452
10.1099/vir.0.071209-0
Emerg Infect Dis
巻: 21 ページ: 1230-1233
10.3201/eid2107.141969
http://www.czc.hokudai.ac.jp/pathobiol/