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2014 年度 実績報告書

野生動物-ウイルス共進化の解明と新規ウイルス変異予測

研究課題

研究課題/領域番号 24405045
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

新井 智  国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (80321868)

研究分担者 川田 伸一郎  独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (30415608)
鈴木 仁  北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (40179239)
大舘 智志  北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
福井 大  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60706670)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード共進化 / 翼手目由来ウイルス / 系統解析 / ウイルス進化予測
研究実績の概要

2014年度は、4月にミャンマー、5月および6月にベトナムの野外調査を実施し、50種以上236頭を捕獲した。これに加え、これまでの調査で捕獲したサンプルについて更に精査したところ、ベトナムの翼手目から検出されたXuan Son virus (XSV)と異なる新しい翼手目由来ハンタウイルスを検出することに成功した。検出した翼手目由来ハンタウイルスは、これまで確認されているいかなるハンタウイルスとも異なっており、陽性個体の検出された地域名からDakrong virusと命名した。一方、GenBankに登録されたハンタウイルス、本研究課題によって明らかになったハンタウイルスなど総合的に検討した結果、現在世界に分布するハンタウイルスは、全てユーラシア大陸起源のウイルスから系統学的に分岐しており、現存するウイルスはユーラシア大陸で誕生したウイルスを起源にしていることが推測された。
今回、新たに新規翼手目由来ハンタウイルスを検出した為、翼手目由来ハンタウイルスについて宿主転換やスピルオーバーによる翼手目への感染拡大の可能性を検討した。その結果、翼手目由来ハンタウイルスは、齧歯目やトガリネズミ形目から宿主転換等で移動した他の宿主由来ウイルスでなく、翼手目のハンタウイルスとして宿主と共に共進化してきたウイルスである可能性が示唆された。翼手目由来ハンタウイルスの陽性率は、他の宿主由来ハンタウイルスより有為に陽性率が低いため、今後ウイルス伝搬メカニズムの解析を進め、翼手目と翼手目由来ハンタウイルスの共進化メカニズムを解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既存の系統解析手法を用いた共進化解析では、本研究課題や既知のデータを元にした解析でハンタウイルスの起源がユーラシア大陸である可能性を推定し、現在の情報から過去を推定することが可能であった。一方、本研究課題で新たに発見した翼手目由来ハンタウイルスは、齧歯目やトガリネズミ形目同様それぞれの宿主と共に長期間共存関係にあり、宿主転換やスピルオーバーではなく共進化してきた可能性を示唆する知見が確認されたため。

今後の研究の推進方策

これまでの野外調査で新規ウイルスの検出できた地域に再度調査を行い、ウイルス情報の収集を行うと共に、これまで断片的な遺伝子情報のみでウイルス性状の解析が不十分であったため、ウイルス分離や分離の為の多様な生物種の初代培養細胞の分離を目指す。既に分離できた細胞については、株化可能かどうか検討する。株化できた場合には、実際に分離に利用可能か検討し、利用可能な場合はウイルス分離に利用すると共に、ウイルスレセプターなど宿主因子の同定に利用する。また、これまでの野外調査で発見した新しいウイルスの情報の論文発表を目指す。

次年度使用額が生じた理由

年度末納品等にかかる支払いが平成26年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成26年度分についてはほぼ使用済みである。

次年度使用額の使用計画

上記のとおり。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Reconstructing the evolutionary origins and phylogeography of hantaviruses.2014

    • 著者名/発表者名
      Bennett, S. N., Gu, S. H., Kang, H. J., Arai, S., Yanagihara, R.
    • 雑誌名

      Trends in Microbiolology

      巻: 22 ページ: 473-482

    • DOI

      10.1016/j.tim.2014.04.008.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Molecular phylogeny of hantaviruses harbored by insectivorous bats in Côte d'Ivoire and Vietnam.2014

    • 著者名/発表者名
      Gu, S. H., Lim, B. K., Kadjo, B., Arai, S., Kim, J. A., Nicolas, V., Lalis, A., Denys, C., Cook, J. A., Dominguez, S. R., Holmes, K. V., Urushadze, L., Sidamonidze, K., Putkaradze, D., Kuzmin, IV., Kosoy, M. Y., Song, J. W., Yanagihara, R.
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 6 ページ: 1897-1910

    • DOI

      10.3390/v6051897.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The currently known bat species composition of Khau Ca species and habitat conservation area, Ha Giang province.2014

    • 著者名/発表者名
      Thanh H.T., Fukui D., Arai S., Son N.T., Huan N.X. and Thong V.D.
    • 雑誌名

      VNU Journal of Science

      巻: 30 ページ: 103-109

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ベトナムの翼手目由来に確認されたハンタウイルスの多様性2014

    • 著者名/発表者名
      新井 智,池山優,Se Hun Gu,Son Truong Nguyen,福井大,大舘智志,吉川泰弘,森川茂,荒木和子,佐藤弘,多屋馨子,Richard Yanagihara,大石和徳
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神奈川県、横浜市
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] モンゴルのトガリネズミに確認された遺伝的に異なるハンタウイルスの共循環2014

    • 著者名/発表者名
      新井智,池山優,Bazartseren Boldgiv,Bazartseren Boldbaatar,荒木和子,佐藤弘,多屋磬子,森川茂,Richard Yanagihara,大石和徳
    • 学会等名
      第157回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      北海道、札幌市
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-12
  • [学会発表] XVIth International Congress of Virology2014

    • 著者名/発表者名
      Ikeyama, Y., Arai, S., Boldgiv, B., Boldbaatar, B., Araki, K., Satoh, H., Tanaka-Taya, K., Morikawa, S., Yanagihara, R., Oishi, K.
    • 学会等名
      International Union of Microbiology Scieties
    • 発表場所
      Montreal, Canada.
    • 年月日
      2014-07-27 – 2014-08-01

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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