研究課題/領域番号 |
24405047
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (10325045)
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研究分担者 |
宗村 広昭 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (90403443)
上野 誠 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00403460)
佐藤 邦明 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (60533289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ケイ酸 / イネ / イモチ病 / インドネシア / 西アフリカ |
研究概要 |
平成25年度は、インドネシア西ジャワ州(イモチ病発生地)において、①イネ・土壌の調査により、インドネシアで一般的に栽培されているイネ品種「Ciherang」でイネいもち病の発生が多くなる傾向が明らかになった。特に、土壌中可給態ケイ酸含有量の低い地域で穂いもちの発生が顕著に観察された。このことからインドネシア・西ジャワ州において、Ciherangに対して病原性を示すイネいもち病菌レースの割合が増加している可能性が考えられた。②イモチ病被害地におけるケイ酸資材の施用試験(日本での一般的な施用量を施肥)を実施し、稲の生育および収量については有意な差は認められなかったが、イモチ病(特に穂イモチ)の発生程度に有意な差が認められ、ケイ酸施用によるイモチ病発生抑制が現地の栽培条件でも有効であることが確認できた。次に、③スマトラ島・シンカラ湖流域において流域内の溶存態シリカ空間分布およびその変動傾向を把握するため河川・かんがい水を採取し分析した。その結果、溶存態シリカの濃度が流域上流の数地点において高い傾向を示し、下流に向かうにつれて希釈等の作用を受けながら減少したり,タラン山からの湧水や地下水のある河川支流から再び供給されたりしている事が把握された。同地域における稲生育・収量のとの関係調査は今後実施する。可給態ケイ酸の自然供給システムの可能性を検討するために、ナイジェリアにおいてこれまでの調査で可給態ケイ酸含有量の高いと考えられるカカオ畑表土および近傍の低地土壌の調査を行った結果、カカオ畑表土では周辺土壌に比べ表層中の可給態ケイ酸含有量が高くなる傾向が認められた。現状では考慮されていないが、カカオ畑の多い地域では、高地から低地への物質移動を考慮した土地利用配置の検討により、低地への可給態ケイ酸供給システム構築の可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度予定していた調査と圃場試験、試料採取分析は終えている。しかし、3月に開始する予定であったインドネシアでの水不足地域での圃場試験が、試験予定地の水供給システムの問題で試験地をスマトラ島南部からジャワ島中部に変更し平成26年度にずれ込んだので③と自己評価した。6月に開始予定であり大きな遅れはない。
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今後の研究の推進方策 |
インドネシアにおいて主要稲品種Ciherangにおけるケイ酸添加量とイネいもち病抑制の関係調査、ジャワ島中部の降水量の少ない水不足が問題となる地域でのケイ酸の施用試験を実施する。また、スマトラ島中部の水田稲作集水域において、高地から低地への水流下に伴う溶存態ケイ酸の動態を調べ、集水域レベルでのかんがい水によるケイ酸供給能を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施する予定であったインドネシアでの水不足地域での圃場試験が、試験予定地の水供給システムの問題で試験地をスマトラ島南部からジャワ島中部Jakenangに位置するインドネシア農業環境研究所の試験圃場に試験地を変更したため平成26年度での開始となった。 平成26年6月に当該試験を開始する予定であり、この試験実施のための現地渡航、資材、現地研究協力者の研究依頼に使用する。
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