研究課題/領域番号 |
24406005
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小松 かつ子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (50225570)
|
研究分担者 |
東田 千尋 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (10272931)
門脇 真 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
朱 シュウ 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (20377360)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 薬用植物学 / 分子系統学 / 芍薬 / 秦ギョウ / 大黄 / 抗アレルギー / 痴呆 / 国際協力 |
研究概要 |
1. 学術調査 中国の甘粛省南部~四川省北部で秦ギョウ及び大黄の野生資源状況及び栽培状況を調査し、生薬等を収集した。 2. 多様性解析 (1) 芍薬:〔遺伝子〕内蒙古及び黒竜江省産Paeonia lactifloraの核ITS領域の解析を行った。白芍と赤芍の区別の指標となる3箇所が全てヘテロ塩基であり赤芍に属することが判明したが、白芍と異なる純系の配列は見出せなかった。〔成分〕抗原刺激脱顆粒抑制作用を示した園芸用1品種及び赤芍市場品のエキスのLC/MS/MS分析を行い、化合物ピークの異同を検討した。また、16化合物を単離し同定した。 (2) 竜胆・秦ギョウ:〔遺伝子〕Gentiana属Cruciata節植物8種及び秦ギョウ市場品のITS領域を解析し、各種は11箇所の塩基の違いと1箇所の挿入欠失により同定可能であることがわかった。〔成分〕竜胆のクロロホルムエキスから新規セコイリドイド配糖体7化合物を含む23化合物を単離し同定した。また、秦ギョウのクロロホルムエキスのメタノール可溶画分から20化合物を単離した。 (3) 大黄:〔成分〕これまでに選抜した4系統の内、1系統の5年生根には、アントラキノン配糖体、フェニルブタノン類、スチルベン類、フラバン-3-オール類及びプロシアニジン類が比較的多く含まれていることが判明した。 (4) 刺五加:〔成分〕自然及び養液栽培で育った植物体の葉のLC/MS分析を行い、カフェオイルキナ酸類5化合物、フラボノイド2化合物及びオリゴ糖を推定または同定した。 (5) 野三七:〔薬理〕神経変性疾患や心疾患の悪性化に関与するcalpainの酵素活性に対する人参類8種のエタノールエキスの影響をcell-free系で検討した。三七人参と野三七野生品は100 μg/mlの濃度で有意にcalpain活性を阻害したが、野三七栽培品と白参は無効であり、他の人参類はcalpain活性を高めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国での学術調査、薬用植物の遺伝子解析及び成分の単離と同定は順調に進展した。しかし、抗炎症、抗アレルギー作用に関する研究はやや遅れ気味である。なお、タイのSalacia属植物の栽培地が特定できなかったため渡航を断念し、その分中国での調査を充実させた。
|
今後の研究の推進方策 |
薬理活性試験及び成分の定量分析を行う人的体制を整える。 タイのSalacia属植物に関する情報収集に努める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
成分の単離同定を中心に実験を行い、また抗炎症、抗アレルギー作用を調べる生物活性試験法の技術の習得に時間を要したため、活性試験用試薬代などの物品費が押さえられた。 生物活性試験用の各種試薬代などの物品費として使用する。
|