研究課題
本研究は、バングラデシュとカンボジアのヒ素汚染地域に注目して実施している。本年度は最終年度であるため、両国で採取したサンプルの測定とデータ解析を行った。バングラデシュのヒ素汚染地域での心臓血管系疾患の高死亡率とヒ素との関係を明らかにするため、血液、毛髪、爪、飲料水の分析を行い、ヒ素の曝露レベルが高いほど、酸化ストレスの指標、炎症の指標、内皮細胞の病変の指標が上昇していることを明らかにした。また、新たに採取した米、野菜についてヒ素の測定を行い、井戸水以外のヒ素汚染源を明らかにした。これらの研究成果を複数の国際誌に掲載することができた。また、バングラデシュの共同研究者であるKarim博士が昨年度に引き続いて5月まで滞在してサンプルの解析を行った。カンボジアのメコン川流域のヒ素汚染地域は、井戸水の摂取をやめている村落、現在なおヒ素で汚染された井戸水を飲んでいる村など、複数の村でのヒ素曝露の実態を明らかにした。一方、カンボジアの人々はタンパク質の80%を魚から摂取しているが、主にメコン川流域の淡水魚である。これまで、淡水魚のヒ素の濃度と化学形態は不明の点が多かったので、再度魚介類とコメの採取を行い、井戸水以外のヒ素摂取源からのヒ素摂取の実態を明らかにした。淡水魚の総ヒ素濃度は海産魚より非常に低かったが、摂取量が多いため、ヒ素の摂取量は無視できないこと、アルセノベタイン以外のヒ素化合物を多く含むことを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
Arch. Toxicol.
巻: 89
10.1007/s00204-014-1326-3
Toxicol. Appl. Pharmacol.
巻: 281 ページ: 11-18
10.1016/j.taap.2014.09.011.
Chemosphere
巻: 120C ページ: 336-342
10.1016/j.chemosphere.2014.08.003.