研究課題
本研究は、世界三大感染症の一つであり、日本国内においても未だ大きな公衆衛生上の課題である結核症に対し、結核症感受性遺伝子探索とその機能解析を継続すると共に、その研究基盤を活用し結核治療薬による副作用と治療効果に関連する遺伝子の探索をアジア系集団において進めている。抗結核薬による肝障害の関連遺伝子の候補としてNAT2多型でのタイの結果を日本人類遺伝学会第59回総会で、日本の結果を日本結核病学会で報告し、その内容を論文投稿した。具体的には、タイにおいて、イソニコチン酸ヒドラジド(INH)を含む抗結核薬治療をした結核患者187名(肝障害の発症群53名との非発症群134名)で検討した。日本においても、複十字病院の結核患者366名(肝障害の発症群73名と非発症群293名)でNAT2多型を比較した。タイで、変異型遺伝子をホモで持つslowacetylator(SA)、ヘテロで持つintermediate acetylator(IA)、持たないrapid acetylator(RA)の頻度が肝障害発症群でそれぞれ66.0%、28.3%、5.7%であった。非発症群では29.1%、59.0%、11.9%で、SAと肝障害との関連解析でオッズ比が4.74(95%信頼区間2.40-9.35, p=5.31*10-6)であった。日本では、SAの頻度が肝障害発症群で17.8%(13/73)、非発症群で4.8%(14/293)で、関連解析のオッズ比は4.32(95%信頼区間1.93-9.66, p=5.56*10-5)であった。今後、異なるSAの頻度とオッズ比等の関連性のデータを基に政策的に遺伝子スクリーニングの対費用効果をアジアで比較検討する前向き研究が望まれる。ゲノムワイド関連解析も活用しNAT2で説明できない要因の探索、血中濃度測定を平行実施してRAの治療効果に与える影響も含めての詳細な検討が必要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
教室HP http://www.humgenet.m.u-tokyo.ac.jp/ 中での結核研究の記載
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http://www.humgenet.m.u-tokyo.ac.jp/research/1-5.html