研究課題/領域番号 |
24406011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
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研究分担者 |
迫 康仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40312459)
柳田 哲矢 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40431837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テニア条虫 / 交雑 / 無鉤条虫 / アジア条虫 / 中間宿主 / 家畜 |
研究概要 |
無鉤条虫とアジア条虫については実験室レベルでの遺伝子・免疫診断法は開発しているが、実際に流行地で応用する段階には至っていない。本研究課題の第1の目的は、流行地で活用できる、ウシ無鉤嚢虫症とブタアジア嚢虫症に対する迅速検査法を開発することにある。また、これまでの研究の課程で、無鉤条虫とアジア条虫の交雑体が複数個体発見されており、単純な検査法では両者の適確な診断が不可能であることが判明している。第2の目的は、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析により、両種の宿主特異性を規定している遺伝子を同定し、交雑の問題を解決することにある。 平成25年度は、インドネシア・バリ島において疫学調査を実施し、ブタおよびウシから血清を分離し、我々が開発した免疫診断方の有効性を確認した。その結果、我々が新規に開発した精製法により、ウシの無鉤条虫感染の診断に利用できる抗原を作製できることが明らかとなった。中国に関しては、社会情勢を考慮して日本側研究者の派遣は行わなかったが、中国側の共同研究者が四川省において疫学調査を実施し、ヒト由来の虫体を得た。現在その結果について、論文を作成している。また、次世代シーケンサーを用いて、アジア条虫1匹、無鉤条虫1匹の遺伝子解析を実施した。現在、その結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度のサンプル採集に関して、インドネシア・バリ島は当初の予定通り、インドネシアの共同研究者と共に9月に疫学調査を実施し、ウシ・ブタからのサンプルを得ることができた。中国に関しては、社会情勢を考慮して日本側研究者の派遣は行わなかったが、中国側の共同研究者が四川省において疫学調査を実施し、ヒト由来の虫体を得た。また、タイ・タック州については、連携研究者である旭川大学の伊藤特任教授とタイ・マヒドン大学の共同研究者が12月に疫学調査を実施し、必要なサンプルを得ることができた。さらに、アジア条虫1匹、無鉤条虫1匹について、次世代シーケンサーによる遺伝子解析を実施した。このように、調査が実施できなかった地域についてもサンプルを得ることができており、研究はおおむね順調に伸展している。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度も、これまでに引き続きインドネシア・バリ島において9月に疫学調査を実施する予定である。また、社会情勢が改善できれば、10月に中国における疫学調査を実施したいと考えている。これらの疫学調査を通して、我々が開発した免疫診断法・遺伝子診断法のフィールドでの有効性を確認する。 また、無鉤条虫とアジア条虫の交雑個体について、次世代シーケンサーによる遺伝子解析を実施する。このデータとH25年度に行ったアジア条虫と無鉤条虫の次世代シーケンサーのデータとを総合的に解析し、宿主特性を規定している可能性のある遺伝子を選抜する。最終的に、無鉤条虫、アジア条虫、その交雑由来虫体の遺伝的関係を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
社会情勢を考慮して、日本側の研究者が参加する中国・四川省における調査を行わなかったため、疫学調査に必要な経費を使用しなかった。また、交雑由来の個体について、状態の良いサンプルがなかったため、次世代シーケンサーによる遺伝子解析を実施しなかった。 H26年度は、社会情勢が安定した場合、日本側の研究者が参加して中国・四川省における疫学調査を実施する。また、H25年度にタイで採取された交雑由来個体について、次世代シーケンサーによる遺伝子解析を実施する。
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