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2013 年度 実績報告書

アジアにおける新種病原アメーバの分布とゲノム多様性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24406013
応募区分海外学術
研究機関東海大学

研究代表者

橘 裕司  東海大学, 医学部, 教授 (10147168)

研究分担者 小林 正規  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70112688)
小見山 智義  東海大学, 医学部, 准教授 (60439685)
牧内 貴志  東海大学, 医学部, 助教 (80587709)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード原虫 / 疫学 / 人獣共通感染症 / 遺伝子多様性 / Entamoeba nuttalli / ミャンマー / マカク
研究概要

本研究では、新たに発見した病原アメーバEntamoeba nuttalliについて、アジア各地における分布を明らかにするとともに、ゲノムの多様性を比較解析することを目的としている。今年度は、ミャンマーのTaung Kalat (TK) とPho Win Taung (PWT) の寺院に生息する野生アカゲザルについて糞便を採取し、各種Entamoebaの感染率をPCR法によって調べた。E. nuttalliは、それぞれの地域で49%と31%の検体が陽性であった。一方で、赤痢アメーバは全く検出されず、E. dispar はPWTのみで6%の検体から検出された。従って、これらのアカゲザルにみられる赤痢アメーバ様4核嚢子のほとんどは、E. nuttalliであることが明らかになった。細菌共棲培養によって、TKで6株、PWTで8株を分離し、このうちTKで分離した1株については完全無菌化に成功した。セリンリッチ蛋白質遺伝子の解析では、2つの地域で2タイプずつ、計4タイプが存在した。tRNA関連繰返し配列については6カ所の座位で解析を行ったところ、TK由来株でA-Lに2タイプが認められたのを除き、2つの地域で異なるタイプが1種類ずつ観察された。このことから、E. nuttalliの遺伝子型の違いは分離株の地理的分布の違いをよく反映しているものの、ミャンマー分離株の多型性は、ネパール分離株に比較して小さいと考えられた。
また、無菌培養しているE. nuttalli P19-061405株のゲノムについて、第3世代のシーケンサーであるPacBio RSを用いた解読を試みた。培養栄養型虫体から抽出したゲノムDNAから10 kb断片のライブラリーを作成し、リード長1 kb以上のリードから約2Gbの塩基配列データを取得した。現在、そのアセンブルを進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミャンマーにおける調査は予定通り実施でき、新たな分離株を確立できた。遺伝子多型の解析は順調に進行している。また、標準株の全ゲノムシークエンス解析も進行している。

今後の研究の推進方策

調査実施対象国を増やすとともに、これまでに調査していないマカク種も対象とする。より多様な分離株を確立するとともに、遺伝子多型の解析を進める。また、標準株の全ゲノムについても解析を推進する。その上で新たな分離株のゲノム解析を実施していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

年度内に請求されるゲノム解析の費用が少なかったことと研究補助者の雇用時間が当初の予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。
調査旅費やゲノム解析費用などに充当する予定である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Correlation between genotypes of tRNA-linked short tandem repeats in Entamoeba nuttalli isolates and the geographical distribution of host rhesus macaques2014

    • 著者名/発表者名
      Feng M., Komiyama T., Yanagi T., Cheng X., Sherchand J.B., Tachibana H.
    • 雑誌名

      Parasitol. Res.

      巻: 113 ページ: 367-374

    • DOI

      10.1007/s00436-013-3664-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prevalence of Entamoeba nuttalli infection in wild rhesus macaques in Nepal and characterization of the parasite isolates2013

    • 著者名/発表者名
      Tachibana H., Yanagi T., Lama C., Pandey K., Feng M., Kobayashi M., Sherchand J.B.
    • 雑誌名

      Parasitol. Int.

      巻: 62 ページ: 230-235

    • DOI

      10.1016/j.parint.2013.01.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prevalence and genetic diversity of Entamoeba species infecting macaques in southwest China2013

    • 著者名/発表者名
      Feng M., Cai J., Min X., Fu Y., Xu Q., Tachibana H., Cheng X.
    • 雑誌名

      Parasitol. Res.

      巻: 112 ページ: 1529-1536

    • DOI

      10.1007/s00436-013-3299-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Primary pathogenicity analysis of a Chinese Entamoeba histolytica isolate2013

    • 著者名/発表者名
      Luo M., Feng M., Min X., Li X., Cai J., Tachibana H., Cheng X.
    • 雑誌名

      BioSci. Trends

      巻: 7 ページ: 77-81

    • DOI

      10.5582/bst.2013.v7.2.77

    • 査読あり
  • [学会発表] タイのヒトとマカクにおける腸管寄生アメーバの感染状況とEntamoeba nuttalli分離株の性状解析

    • 著者名/発表者名
      橘裕司 他
    • 学会等名
      第54回日本熱帯医学会大会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
  • [学会発表] 腸管寄生アメーバ類におけるマトリョーシカ関係の同定と構築

    • 著者名/発表者名
      橘裕司
    • 学会等名
      第2回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      ホテル京都ガーデンパレス
  • [学会発表] 次世代ならびに次々世代シーケンサーを用いた病原アメーバEntamoeba nuttalliの全ゲノムシークエンシング解析

    • 著者名/発表者名
      橘裕司 他
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] 赤痢アメーバにおけるPRELI/MSF1p'ファミリータンパク質の解析

    • 著者名/発表者名
      牧内貴志,橘裕司
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] Correlation between tRNA-linked short tandem repeats genes in Entamoeba nuttalli isolates and the geographical distribution of host macaques

    • 著者名/発表者名
      馮萌 他
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] Amoebicidal activity of artemether by inhibition of phosphoserine aminotransferase synthesis in Acanthamoeba castellanii

    • 著者名/発表者名
      程訓佳 他
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] 嫌気性原虫におけるオルガネラ異種間移植のためのマイクロインジェクション法の検討

    • 著者名/発表者名
      吉田和弘 他
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] Polymorphism in and antibody responses to thrombospondin-related adhesive protein of Plasmodium vivax (PvTRAP)

    • 著者名/発表者名
      Kosuwin Rattiporn 他
    • 学会等名
      第83回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      愛媛大学城北キャンパス
  • [学会発表] 赤痢アメーバ症の診断 近縁種との鑑別と多型解析

    • 著者名/発表者名
      橘裕司
    • 学会等名
      静岡県寄生虫症研究会第18回研究総会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松研修交流センター
    • 招待講演
  • [図書] Entamoeba. ウィルス・細菌・真菌・寄生虫同定便覧2014

    • 著者名/発表者名
      橘裕司
    • 総ページ数
      417ページ中の3ページ
    • 出版者
      技術情報協会
  • [図書] 赤痢アメーバ原虫の形質転換株の樹立法.寄生虫学研究 材料と方法 2013年版2013

    • 著者名/発表者名
      牧内貴志,橘裕司,野崎智義
    • 総ページ数
      166ページ中の5ページ
    • 出版者
      三 恵社

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公開日: 2015-05-28  

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