研究課題/領域番号 |
24406014
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90137117)
|
研究分担者 |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90288522)
砂原 俊彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50264156)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 糸状虫症 / 尿診断 / 媒介蚊 / LAMP |
研究概要 |
尿を検体とする免疫診断法と媒介蚊の感染を容易に検出できるLAMP法の併用により、最終的には、住民の負担(採血や日常生活の障碍)を最小限に抑え、「尿と蚊」による、フィラリア症の根絶・再燃の確認が出来るシステムを構築することを目的とする。今年度の調査により、以下の点を明らかにできた。 (1)バングラデシュでのフィラリア症対策の尿診断法による評価 集団投薬によるフィラリア症制圧計画が進んでいる、バングラデシュの北西部のタクルガオン地区で、投薬の住民カバー率の高いところと低いところからそれぞれ選択された小学校の、合計1,600人の小学生より集められた尿中のフィラリアに対する抗体を調べた。その結果カバー率の低い地域の小学生で抗体陽性者が多くみられ、尿中の抗体が対策の進み具合を示す良い指標になることがわかった。 (2)ベトナムでのフィラリア症対策の評価 1996年の調査でミクロフィラリア陽性率が7.2%との報告のあるベトナムのカンホア地区の住民からの尿中抗体を測定した。その結果、21歳以上では7.5%が陽性であったが、20歳以下では1.3%のみが陽性で、フィラリアの伝播が抑えられているものと考えられた。ただし、20歳以下の陽性者2人が4歳であったことから、この2人ならびに家族の再検査が必要である。 (3)ケニアにおけるフィラリア症対策の評価 東海岸に近いクワレから採取された尿中の抗体価を測定した。クワレでは調べた6村で全体として5.36%(23/408)が陽性となったが、村間で陽性率に0%~11%と大きな差がみられ、対策の進み具合の差が表れているかどうか調査中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バングラデシュ、ベトナムならびにケニアの、フィラリア症対策が進んでいるかつての流行地からの尿検体を用い、フィラリア抗原に対するIgG4抗体レベルの調査を行うことができた。特にバングラデシュでは集団投薬のカバー率の違いが、尿をつかった調査で推定できることを示唆する結果が得られ、今後の対策に有効な方法であることを示すことができた。スリランカでの尿による調査はできなかったが、1,000以上の媒介蚊を集めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き対策が進行中あるいは終了した地域での尿をつかった調査を実施し、また媒介蚊の幼虫保有率の調査も同時進行で行うことにより、より正確なフィラリア症対策の評価ができるようにする。それに必要な数学モデルの構築を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入費用が予想より少なくて済んだために、約7万円を繰り越すことになった。今年度の消耗品購入に使用する予定である。
|