研究課題
本事業では、特に今まで研究がなされなかったミャンマーおよびインドネシアに焦点を当てて、1) ピロリ菌によって引き起こされる胃癌発生リスクの予測、2) アジア諸民族の移動経路の解明という2つの命題に取り組むことを目標とした。本目的のために、アジア各国での共同研究を確立して、サンプル採取および解析を行なう計画を立てた。平成24年度に、予定を大きく超えて、インドネシア(スラウェシ島のマナド近郊およびジャワ島のスラバヤ)、ベトナム北部ラオカイ近郊の村、ベトナム中央高原のダクラック地域、ネパールのカトマンズで、内視鏡検査を行うことができ、これらのデータの解析を行った。インドネシアのマナドのピロリ菌が、台湾原住民に認められるマオリ型であること、ベトナム中央高原のダクラック地域の菌が、東アジアであるにもかかわらず、欧米型の特徴をもっていることなど、多くの成果を上げており、現在論文執筆中である。また以前に採取していたブータンの検体についてはデータをまとめることができ、論文化することもできた。さらに、新たな疫学調査としては、今年度は、ベトナム北部ラオカイ近郊の村でのさらなる大がかりな検査、タイとミャンマー国境地域での検査、モンゴルでの検査、さらにインドネシアのパプアで世界で初めて本格的なピロリ菌検査を行うなど、精力的な疫学調査を遂行することに成功した(パプアでの検査は、現地の新聞にも大きく取り上げられた)。さらにバングラディシュも訪問し、今後の疫学調査の計画の打ち合わせを行うことができた。
1: 当初の計画以上に進展している
当初は、ミャンマーおよびインドネシアのみをターゲットとしていたが、ミャンマーとタイの国境や、インドネシアでも、初めて足を踏み入れたパプアでの調査、さらにベトナムやモンゴルにも疫学調査を延ばし、さらにバングラディシュとの交渉も順調など、アジア各国に広げた広範囲の疫学調査を展開しており、ピロリ菌研究では、間違いなく世界トップの研究機関へと成長していると自負している。
今後は、今まで採取した検体を詳細に検討する。特に、次世代シーケンサーや、次次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を開始しており、さらにデータを蓄えて、論文化することを目標とする。また、疫学調査としては、インドネシアの辺境地やブータン、バングラディシュ、ミャンマー辺境部での調査を行いたいと考えている。
今年度は、データの解析や論文作成に集中したこともあり、予定を下回る物品費で済ませることができた。また、旅費に関しても、一部他の学内裁量経費などを用いる場合もあり、次年度使用額が生じた。今年度は、今まで採取した検体を次世代シーケンサーなどで大量に解読する必要があり、多くの物品使用を必要とする。さらに、疫学調査も多く計画しており、その経費が必要となる。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 17件) 備考 (1件)
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