研究課題/領域番号 |
24406016
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山崎 伸二 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70221653)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感染症 |
研究概要 |
アルゼンチンの家畜及び下痢症患者検体からstx遺伝子を検出した106、36検体からそれぞれ38及び6株のSTECを単離した。家畜由来38株中eaeA陽性はstx2陽性の2株、hlyA陽性はstx1陽性の1株、saa陽性はstx2陽性の4株とstx1/stx2両陽性の7株、astA陽性はstx1陽性の1株とstx2陽性の5株であった。lpfAO113はstx2陽性の3株でのみ陰性であったがそれ以外では陽性であった。O血清型は、O153が3株、O8とO91がそれぞれ2株、O157とO145がそれぞれ1株、OUTが22株、roughが6株あった。下痢症患者由来の6株は、全てでstx2、eaeAとastAが陽性、そのうちO145が2株、O157が4株であった。 タイの検体について、牛から分離されたSTEC45株の病原因子プロファイルを調べた。2株でeaeA陽性、6株でEAF陽性、1株でhlyA陽性、32株でsaa陽性、38株でlpfAO113陽性、36株でiha陽性、38株でeha陽性、1株でefaA1陽性、4株でastA陽性、2株でcdt陽性であった。下痢症患者から分離したSTEC 14株では、10株でeaeA陽性、1株でEAF陽性、1株でhlyA陽性、3株でsaa陽性、10株でlpfAO113陽性、12株でiha陽性、10株でeha陽性、10株でefaA1陽性、10株でastA陽性、1株でcnf陽性であった。 我が国の牛肛門検体でstx遺伝子が陽性となった37検体から9株のSTECが分離できた。一方、下痢症患者便から分離したSTEC 7株についてO血清型を調べたところ、O26、O111、O119がそれぞれ1株、O103とO157がそれぞれ2株であった。今後分離したSTECの病原因子プロファイルなど細菌学的性状を調べて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目を終えて、おおむね予定どおり研究は進んでいる。ただ、stx遺伝子を標的としたリアルタイムPCRはSTECの定量に適さないこと及び環境検体でのstx遺伝子に対するPCR陽性率が低くいことからこれらに対する研究はストップしたため、成果は十分出ていない。アルゼンチン、タイ、我が国の家畜及び患者から分離したSTEC株の病原因子プロファイルを含め細菌学的性状解析に集中しておこなってきた。こちらに関しては成果が出つつある。
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今後の研究の推進方策 |
環境検体の解析を当初予定していたが、環境検体でのstx遺伝子に対するPCR陽性率が低く、家畜や患者検体の解析により多くのエネルギーを注ぐ予定である。家畜及び患者からの分離株について、病原因子プロファイルや細菌学的性状解析について部分的に研究成果が得られている。今後、全体像が明らかとできるように研究を進めて行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
タイで政情不安が伝えられたためタイへの渡航を控えたことと一部他の研究プロジェクトと共通目的で使用できる試薬を購入し、節約できたため。 今年度はタイへの渡航も計画しており、旅費も増額となる予定である。また、実験のスピードを上げるため人件費としても一部計上し、試薬に関しても本プロジェクト用として購入し、予定どおり研究費を使用する予定である。
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