研究課題/領域番号 |
24406017
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
樋口 倫代 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (00547557)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域保健 / 健康行動 / 社会疫学 / 乳幼児栄養不良 / 東ティモール / 国際情報交換 |
研究概要 |
本課題は、初年度(平成24年度)の予備調査の段階で、計画通りに遂行することが困難であることが予想されていた。すなわち、本課題が現地の研究倫理/技術委員会の承認を得た後、現地保健省が「全国栄養調査」を行うことを決定、これは、ユニセフを通じた学術機関の技術支援と複数の国際機関による資金援助を得て行う10,000人規模の代表サンプルによる調査であり、この大規模調査の内容と本課題に重複・競合がないようにすることを保健省、ユニセフから要請されたのである。その後も「全国栄養調査」の進捗は、調査計画および調査票の公表が2013年2月、調査終了が2013年10月と大幅に遅れていたため調整がつかず、本年度も引き続き本課題の遂行に支障をきたす主な原因となった。 この間、現地の研究補助者を確保し、現地協力機関(東ティモール保健省・国立保健科学院・保健研究開発部)との合意の元、協力機関内に作業スペースを得て、情報収集および調整を行った。また、今後の調査を速やかに行うにあたって必要な研究業務調整・管理のキャパシティビルディングのため、研究補助者が関連する研修(9月8日~10月14日)に参加した。 研究代表者は平成25年8月と平成26年3月に渡航・滞在し、現地研究協力者らとの研究打ち合わせを行った。3月には国立保健科学院関係者および「全国栄養調査」関係者らとの会議の中で、本課題の計画を微修正することにより「全国栄養調査」と補完し合える内容であることを確認、合意することができ、来年度以降の課題遂行の見通しをつけることができた。さらに、本課題の具体的な質問票を今後作成するにあたっての意見交換を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前述のとおり、「全国栄養調査」との重複・競合を避けるために、「全国栄養調査」の概要が明らかになるまで本課題の延期を現地保健省やユニセフから要請されていたため、その進捗を待つ必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
2014年3月の現地関係者と話し合いにより本課題の方針への理解が得られたので、まず、本年度前半には、本研究がより現地での利用価値のある研究となるための計画修正を行ない、現地保健省・研究倫理/技術委員会および名古屋大学生命倫理審査委員会へ修正を申請する。すなわち、1)全国調査では困難なより質の高いデータ収集を行うために、調査対象県を限定する、2)乳幼児栄養不良の要素は残しつつ、「健康行動」と地域と個人の「社会的決定要因」により重点をおいた研究内容にシフトする、の2点である。 計画修正後、並行して行ってきた質的研究の結果や「全国栄養調査」からの情報も考慮に入れて、健康の社会的決定要因、特に社会的サポートやソーシャルキャピタルの測定方法の探索を行う。これらについては、高所得国では研究の積み重ねがあるが、それらを東ティモールのコンテキストに応用する方法を検討する必要がある。そのために、目的サンプリングで選んだ少数の村において、研究代表者、連携研究者、東ティモール人研究補助者が協力して、予定対象者の母親とそれ以外の幅広い範囲の人々に詳細なインタビューと観察を行い、現地でも使用可能なデータ収集ツール(構造化質問票とチェックリスト)開発のための準備をする。同時に、対象県を限定して行う計画に変更する予定のため、対象県の県保健局や郡の保健センター、地域リーダーとの研究リエゾンを構築する。 26年度の後半では、予定していたように構造化質問票とチェックリストを用いて本調査を行う。
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