研究課題/領域番号 |
24406017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
樋口 倫代 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教員 (00547557)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域保健 / 健康行動 / 社会疫学 / 東ティモール |
研究実績の概要 |
次項(「現在までの達成度」)で詳述したように、本課題は平成25年度後半期に計画修正と調整を再開した。平成25年度末(平成26年3月)の渡航・滞在時の現地協力機関(国立保健科学院)での会議で、本課題の研究計画修正についての意見交換、合意ができたため、平成26年度は、まず、1回目の渡航・滞在(平成26年6月19日~26日)で修正計画書と英語版質問票を保健省提出、7月2日付で再承認を得た。対象県については、「全国栄養調査」との重複を避け、また本研究の目的である環境要因に関する分析をより効果的にできるという判断のもと、県内の地域多様性が顕著である1県に絞って調査するよう変更した。 2回目の渡航・滞在(平成26年11月19日~29日)では、データ収集チームのリーダーとなる東ティモール人研究協力者と共に調査票およびロジスティックに関する調整を行い、日本人研究協力者(科研費以外の資金で渡航・滞在したボランティア協力者)へのオリエンテーション、国立保健科学院、JICA東ティモール事務所、在東ティモール日本大使館との情報交換などを行った。その後、調査票の再修正、現地語への翻訳、インタビュアーのリクルートメントを行った。 3回目の渡航・滞在(平成27年2月17日~3月7日)では、研究協力機関、保健省の関連部署、対象県の県庁および県保健局との調整、調査票の現地語翻訳の確認および修正、逆翻訳のかわりとしての東ティモール人によるフォーカスグループディスカッション、インタビュアートレーニングを経て、調査票を含むデータ収集ツールを完成させ、プレテストを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題は、初年度(平成24年度)の予備調査の段階で、計画通りに遂行することが困難であることが予想されていた。すなわち、本課題が現地の研究倫理/技術委員会の承認を得た後、現地保健省が「全国栄養調査」を行うことを決定、この大規模調査の内容と本課題に重複・競合がないよう、本課題内容を修正もしくは中止することを現地保健省とユニセフから要請されたためである。「全国栄養調査」は、ユニセフを通じた学術機関の技術支援と複数の国際機関による資金援助を得て行う10,000人規模の代表サンプルによる調査であるが、研究計画の全容が公表されるのが当初より遅れ、さらに、データ収集が終了し予備報告が出されたのが平成25年度後半期であり、その後に本課題の計画修正と調整を再開したため、本課題の遂行は全般的に遅れていた。 前年度末に、計画修正に着手し調査準備を再開したが、調査準備最終段階であるプレテストで、平成26年度計画に若干の遅れが生じた。すなわち、村によって住民台帳がない、もしくは、台帳の情報が欠損していて台帳を用いたサンプリングが行えない状況が明らかになり、台帳を用いないサンプリング方法に変更を余儀なくされたためである。プレテストは予定より回数を増やして、終了することができたが、平成26年度3回目の渡航滞在中に開始する予定であった本調査は最終年度に持ち越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
1回目の渡航・滞在(平成27年度4月下旬~5月上旬)中に、研究代表者のもとで調査を開始し、同時にデータ収集したものから研究代表者がクリーニングを行う。その後は東ティモール人研究協力者の監督下にデータ収集を継続、終了前に2回目の渡航・滞在し、第1四半期中にデータ収集を終了する。第2-3四半期でデータクリーニング、データ入力、データ分析を行う。 分析は予定通り、子供の健康(体重を含む)と母親の行動を目的変数、個人と村の2レベルの社会要因とその交絡因子を説明変数として、マルチレベル分析を行う予定である。第4四半期までに報告書を作成し、現地関係者が参加するワークショップを開催、結果について検討を行う。ワークショップの成果のもとに、学術誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のごとく、村の住民を用いたサンプリングが行えない状況が明らかになり、台帳を用いないサンプリング方法に変更を余儀なくされたため、プレテストの回数を予定より増やした。このため、平成26年度3月に開始する予定であった本調査を最終年度に持ち越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は、本調査に関わる経費、すなわち、インタビュアーの謝金、データ収集に関わる車両借上げおよび燃料費、質問票などの印刷費として使用する予定である。
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備考 |
2番目は、科研費事業を行うにあたっての所属研究機関ではないが、研究代表者が代表をつとめる非営利法人のページで、関連記事として調査経過を報告している。
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