本課題は2年近く調査保留となっていたが、現地保健省より平成26年7月2日付で修正計画書の承認を得て再開、前年度中にフィールドプレテストまで終了し、本年度は直ちに本調査を開始した。 調査地は首都の県に絞り、県内の31村のうち、離島を除いた全26村(25村7エリア)で対象者を系統サンプリングし、児の体重測定、母親への構造化インタビュー(母子の健康、健康行動、プライマリヘルスケアへのアクセス、母親及び世帯の社会経済状況、母親のソーシャルキャピタル)および世帯の環境に関するチェックリストによりデータ収集した。最終的に881例(組)より情報を得、児の性別、月齢、体重、weight-for-ageのz-scoreが有効であった858例を分析対象とした。 z-scoreが-2SD以下の低体重児は173名(22.4%)、-3SD以下の重症な低体重児は47名(5.5%)であった。368人(42.9%)の母親が既に授乳を止めており、また372人(43.4%)が推奨されている月齢6ヶ月より早くもしくは遅く離乳食を開始していた。衛生行動では調理前の手洗い習慣が77.3%にとどまった。ほとんど(96.2%)の対象者は1時間以内で保健施設に行くことができると回答したが、204人(23.8%)が必要時に保健施設を利用しない(unmet needs)経験をしていた。社会経済的因子で調整した上で、母乳を停止していること、トイレ後に常に手洗いをしていること、unmet needsの経験がないことに児の低体重と負の有意な関連を認めた。母親のコミュニティ参加、コミュニティへの信頼と協力などは児の低体重と有意な関連を認めなかった。 平成28年3月22日に現地の国立保健科学院で成果発表会を開催し結果を共有した。調査開始の遅れに伴い、詳細分析および学術誌への公表を研究期間内に達成できなかったが、終了後の継続課題とした。
|