研究課題/領域番号 |
24406021
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 定彦 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (90206540)
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研究分担者 |
中島 千絵 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特任助教 (60435964)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 結核菌群菌 / 多剤耐性 / 超多剤耐性 / 遺伝子変異 / 伝播動態調査 |
研究概要 |
多剤および超多剤耐性結核の調査が不十分と考えられる対象国のうちネパールならびにミャンマーより各1名の研究者を招聘し、疫学情報とともに臨床分離菌株より得られたDNAを日本に輸入した。また、バングラデシュには研究代表者が訪問して疫学情報を収集し、臨床分離菌株由来DNAを日本に輸入した。 対象4カ国にて総計約1,100株の結核あるいは結核様症状を呈した人より分離した抗酸菌株を収集してバイオリソース(病原体、病原体DNA)とした。バイオリソースのうち結核菌群菌のみを対象として研究実施者者らが開発したマルチプレックスPCR法によって結核菌群菌鑑別法を実施した結果、全てが結核菌であり、他の結核菌群菌は検出されなかった。当該国協力研究者と共同で選定したリファンピシン(RFP)、イソニアジド(INH)、エタンブトール(EBB)、カナマイシン(KM)ならびにオフロキサシン(OFX)耐性結核菌のDNAを対象として薬剤耐性に関与することが報告されている遺伝子の塩基配列を決定し、耐性に関与する塩基置換を特定した。遺伝子置換と薬剤耐性の相関は国ごとによって異なり、特にミャンマーにおいてはRFP、INHともに約3割の菌株で特定の部位に変異が見られなかった。 調査対象国から輸入したDNAを対象にして、日本において遺伝子型データを取得した。申請者らが既に開発している簡便かつ信頼性の高い遺伝子型別法と現在頻用されているMLVA法を併用することにより詳細な遺伝子型別データを得た。得られたデータを集約して遺伝子型データベースを構築した。現在までに、約750株の遺伝子型を当該データベースに収載した。 結核菌のゲノム上に存在するrv0679c遺伝子上に北京遺伝子型結核菌株に特異的なアミノ酸置換を伴う1塩基置換を見出した。更に、これをターゲットとするマルチプレックスPCR法を開発し、これが北京遺伝子型結核菌株の検出に有用である事を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の共同研究ネットワークが有効に活用でき、検体収集と遺伝子解析の目的数が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
1) 薬剤耐性結核の疫学情報収集を継続する。 2) 平成25年度の研究を継続し、菌株バンク、DNAバンク、分離情報に関するデータベース、薬剤感受性データベースを充実させる。 3) 耐性関連遺伝子変異解析を継続し、データベースを充実させる。 4) 遺伝子型データの収集を継続し、データベースを充実させる。 5) 遺伝子型ならびに薬剤耐性関連変異データベースをウエブ上で公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子型別ならびに薬剤耐性関連遺伝子の塩基配列決定に用いる試薬の使用法に改良を加えて、消耗品に要する費用を大幅に削減できた。 検体の数を当初予定の倍に増やして遺伝子型別ならびに薬剤耐性関連遺伝子の塩基配列決定を実行し、より詳細なデータ取得を図る。
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