タイ国における多剤耐性アシネトバクター・バウマニを中心とする院内感染制御支援

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24406022
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 朝野 和典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40202204)
• 研究分担者: 大石 和徳 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (80160414) ; 関 雅文 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80432970) ; 明田 幸宏 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (60444527)
• 研究期間 (年度): 2012-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 院内感染 / 薬剤耐性菌 / アシネトバクター / タイ国 / アウトブレイク

研究実績の概要

世界で問題となっている耐性菌、特にカルバペネム耐性細菌の出現頻度は諸外国に比べてかなり低い状況にあるが、いつ日本に持ち込まれ蔓延してもおかしくない状況にあり、多剤耐性菌の院内感染防止についての研究は喫緊の課題である。そこで、我々は耐性菌の蔓延地域において、院内感染防御策について支援を行うことで、当該地域での耐性菌分離率を低下させ、副次的に日本国内への耐性菌の侵入機会の減少につなげることを目的とした。
タイ国で分離されたカルバペネム耐性アシネトバクター173株に対し、保有する薬剤耐性遺伝子について調べた結果、blaoxa-23を有するものが優位であり、院内では耐性菌が比較的モノクローナルに蔓延していることが明らかとなった。この結果を基に、LAMP法（Loop-Mediated Isothermal Amplification法）を用いた、病院でも容易に行える迅速診断系を確立し、感度:88.6%(95% CI: 75.4-96.2%)、特異度:90.8%(95% CI: 81.9-96.2%)と良好な結果を得ることができた。この迅速診断法を協力病院集中治療室において、スクリーニング方法として導入した結果、早期診断により、院内感染防御策を約2日早く進めることができ、それにより約50%の院内感染を減らすことに成功した。また、日本国内においても、平成26年3月、平成27年2月に腸内細菌科カルバペネム耐性菌のアウトブレイクが起こったが、LAMP法を院内感染防御に役立てることができた。
院内アウトブレイクにおける早期検出方法の有効性を示唆することができた。病院内で用いるためには、簡便性・迅速性が重要であり、今後もこの点について研究を進めたい。また、今後海外からNDM-1やKPC産生CREの増加も予見されることから、タイ国含む近隣諸国においてセンチネル・サーベイランスを継続したい。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額が生じた理由

26年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額の使用計画

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Mycobacterium avium complex-associated peritonitis with CAPD after unrelated bone marrow transplantation. (2014)
  • 著者名/発表者名: Miyashita E, Yoshida H, Mori D, Nakagawa N, Miyamura T, Ohta H, Seki M, Tomono K, Hashii Y, Ozono K
  • 雑誌名: Pediatr Int 巻: 56(6) ページ: e96-8
  • DOI: 10.1111/ped.12463
  • 査読あり
• [雑誌論文] Presence of neutrophil extracellular traps and citrullinated histone h3 in the bloodstream of critically ill patients (2014)
  • 著者名/発表者名: Hirose T, Hamaguchi S, Matsumoto N, et a
  • 雑誌名: PLoS One 巻: Nov 13;9(11) ページ: e111755
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0111755.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Protective properties of a fusion pneumococcal surface protein A (PspA) vaccine against pneumococcal challenge by five different PspA clades in mice.Vaccine. (2014)
  • 著者名/発表者名: Piao Z, Akeda Y, Takeuchi D, Ishii KJ, Ubukata K, Briles DE, Tomono K, Oishi K
  • 雑誌名: Vaccine 巻: 32(43) ページ: 5607-13
  • DOI: 0.1016/j.vaccine.2014.07.108.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Antibiotic susceptibility survey of blood-borne MRSA isolates in Japan from 2008 through 2011. (2014)
  • 著者名/発表者名: Hanaki H, Cui L, Ikeda-Dantsuji Y, Nakae T, Honda J, Yanagihara K, Takesue Y, Matsumoto T, Sunakawa K, Kaku M, Tomono K, Fukuchi K, Kusachi S, Mikamo H, Takata T, Otsuka Y, Nagura O, Fujitani S, Aoki Y, Yamaguchi Y, Tateda K, Kadota J, Kohno S, Niki Y.
  • 雑誌名: J Infect Chemother. 巻: 20(9) ページ: 527-34
  • DOI: 10.1016/j.jiac.2014.06.012.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Distribution of Candida species isolated from blood cultures in hospitals in Osaka, Japan. (2014)
  • 著者名/発表者名: Morii D, Seki M, Binongo JN, Ban R, Kobayashi A, Sata M, Hashimoto S, Shimizu J, Morita S, Tomono K
  • 雑誌名: J Infect Chemother. 巻: 20(9) ページ: 558-62.
  • DOI: 10.1016/j.jiac.2014.05.009.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Novel anti-microbial peptide SR-0379 accelerates wound healing via thePI3kinase/Akt/mTORathway. (2014)
  • 著者名/発表者名: Tomioka H, Nakagami H, Tenma A, Saito Y, Kaga T, Kanamori T, Tamura N, Tomono K, Kaneda Y, Morishita R
  • 雑誌名: PLoSOne 巻: 9(3) ページ: e92597
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0092597. eCollection 2014.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Neutrophil extracellular traps in bronchial aspirates: a quantitative analysis. (2014)
  • 著者名/発表者名: Hamaguchi S, Hirose T, Matsumoto N, Akeda Y, Irisawa T, Seki M, Hosotsubo H, Yamamoto K, Tasaki O, Oishi K, Shimazu T, Tomono K
  • 雑誌名: Eur Respir J. 巻: 43(6) ページ: 1709-18
  • DOI: 10.1183/09031936.00139813.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Correlation between outbreaks of multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa infection and use of bronchoscopes suggested by epidemiological analysis. (2014)
  • 著者名/発表者名: Machida H, Seki M, Yoshioka N, Yabuno K, Miyawaki K, Yoshida H, Yamamoto N, Hamaguchi S,Tomono K
  • 雑誌名: Biol Pharm Bull 巻: 37(1) ページ: 26-30
  • 査読あり
• [雑誌論文] 肺炎の迅速原因菌検査 グラム染色 (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典
  • 雑誌名: 呼吸研究 巻: 33：9 ページ: 942-944
• [雑誌論文] 呼吸器感染症の治療と予防 ストップ肺炎キャンペーン (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典
  • 雑誌名: 日本胸部臨床 巻: 73 ページ: S238-S243
• [雑誌論文] 結核 (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典
  • 雑誌名: 感染症道場メディカルレビュー社 巻: Vol3.No.3 ページ: 55-56
• [雑誌論文] 院内感染 (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典
  • 雑誌名: 臨床雑誌 内科 巻: Vol.113No.6 ページ: 997-999
• [雑誌論文] 医療・介護関連肺炎（NHCAP）の概念と診療 (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典 関 雅文
  • 雑誌名: 日本内科学会誌 巻: 102 ページ: 2882-2887
• [学会発表] The role of neutrophil extracellular traps against soft tissue infections (2015)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto N, Ojima M, Hamaguchi S,Hirose T, Takagawa R, Matsumoto N, Irisawa T, seki M, Tasaki O, ShimazuT, Tomono K
  • 学会等名: 35Th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON intensive care and EMERGENCY MEDICINE
  • 発表場所: Square Brussels Meeting Centreブリュッセル（ベルギー）
  • 年月日: 2015-03-16 – 2015-03-20
• [学会発表] Nosocomial Transmission of Carbapenem-Resistant Acinetobacter baumannii (CRAb) among ICU (2014)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto N,Hamaguchi S, Akeda Y, Anusak Kerdsin,Santanirand Pitak, Seki M, Kumthorn Malathum, Oishi K, Tomono K
  • 学会等名: IDWeeK2014
  • 発表場所: The Pennsylvania Convention Centerフィラデルフィア（アメリカ）
  • 年月日: 2014-10-07 – 2014-10-12
• [学会発表] Direct LAMP assy from clinical sample for Carbapenem resistant A. baumannii (2014)
  • 著者名/発表者名: Hamaguchi S,Yamamoto N, Akeda Y, Anusak Kerdsin,Santanirand Pitak, Seki M, Kumthorn Malathum, Oishi K, Tomono K
  • 学会等名: ERS Annual Congress Munich 2014
  • 発表場所: Internationales Congress Centerミューヘン （ドイツ）
  • 年月日: 2014-09-06 – 2014-09-08
• [学会発表] 肺炎球菌に対する乳幼児期の血清疫学調査 (2014)
  • 著者名/発表者名: 濱口重人,明田幸宏,朝野和典,大石和徳
  • 学会等名: 第88回日本感染症学会
  • 発表場所: ヒルトン福岡シーホーク（福岡県福岡市）
  • 年月日: 2014-06-18 – 2014-06-20
• [学会発表] LAMP法を用いた多剤耐性アシネトバクター・バウマニ検出法の確立 (2014)
  • 著者名/発表者名: 山本倫久,濱口重人,明田幸宏,関雅文,大石和徳、朝野和典
  • 学会等名: 第88回日本感染症学会
  • 発表場所: ヒルトン福岡シーホーク（福岡県福岡市）
  • 年月日: 2014-06-18 – 2014-06-20
• [学会発表] 当院における血液培養検体からのカンジダ属菌の検出状況 (2014)
  • 著者名/発表者名: 宮脇康至,薮野佳小里,関雅文,三輪芳弘,朝野和典
  • 学会等名: 第６２回日本化学療法学会
  • 発表場所: ヒルトン福岡シーホーク（福岡県福岡市）
  • 年月日: 2014-06-18 – 2014-06-20
• [学会発表] メロぺネム１日６ｇ投与の有効性・安全性の評価 (2014)
  • 著者名/発表者名: 宮脇康至,薮野佳小里,関雅文,三輪芳弘,朝野和典
  • 学会等名: 第６２回日本化学療法学会
  • 発表場所: ヒルトン福岡シーホーク（福岡県福岡市）
  • 年月日: 2014-06-18 – 2014-06-20
• [図書] 呼吸器疾患診療最新ガイドライン (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野和典
  • 総ページ数: 44‐４８
  • 出版者: 総合医学社
• [図書] 糖尿病研修ノート (2014)
  • 著者名/発表者名: 朝野 和典
  • 総ページ数: 625-630
  • 出版者: 診断と治療社