研究課題/領域番号 |
24406025
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤田 眞幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00211524)
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研究分担者 |
中嶋 克行 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10444051)
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
大澤 資樹 東海大学, 医学部, 教授 (90213686)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポックリ病 / Lai-Tai / 突然死 / 冠動脈攣縮 / 東南アジア / 不整脈 / Brugada症候群 / 脂質代謝 |
研究概要 |
ポックリ病症候群(Pokkuri Death Syndrome: PDS)は、健康な青壮年層が、夜間就寝中に突然発症し、短時間で死亡する原因不明の病態である。解剖所見では冠状動脈硬化がほとんどなく、心肥大や他の死因となり得るような明らかな器質的疾患もみられない。本症候群は、東南アジア地域で多発することが知られているが、我々は、東南アジア諸国における実態を調査し、地域間で比較することによって、この病態が、なぜ東南アジア地域に多いかを解明することを目指すものである。 我々は日本のPDSに相当する、タイのLai-Tai(L-T)について調査を進めてきた。本年度は、タイ国の国内情勢が不安定であったため、頻繁に渡航できず、事例収集を促すことが十分にできなかったが、L-T事例数は約60例に至った。約90%が男性で、また、死亡時間帯の70%が午前0~6時の間に認められるなど、日本と共通の特徴がみられる点は、昨年度までの解析と同様の結果を示した。 致死的不整脈による突然死の原因となるBrugada症候群などの主たる原因遺伝子であるSCN5Aの遺伝子解析については、承認を得る方向となってから、正式な承認を得るまでに、かなり時間を要したが、平成26年度から、本格的な解析に移る予定である。 本年度は、タイ国事例の解析の進行が遅れたが、国内の事例については解析がかなり進み、国内事例のほぼ全症例のSCN5A遺伝子エクソン部分の塩基配列が決定された。その結果、68例で、少なくとも1つ以上のアミノ酸置換を伴う遺伝子変異の存在を示唆するデータが得られた。現在SNPs解析を行って精査中であるが、31種類の遺伝子変異の約1/5は既に報告された変異であり、残る約4/5は未だ報告されていないものであった。 また、上記以外に、脂質解析の中心となるレムナント測定法について改良を行い、いくつかの報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タイ国の事例収集は、頻繁な渡航が困難であったため、進展が遅れている。本年度は、できるだけ渡航回数を増やし、より多くの事例収集を行う予定である。 平成25年度に交渉の目処がたった遺伝子解析については、ようやく正式な承認が現地で得られるに至ったので、日本での承認が得られ次第、解析を開始する。 一方、日本国内の事例の遺伝子解析は、順調に進んできている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、タイの事例についての実態調査と資料収集を継続するとともに、遺伝子解析を行う。 日本国内の事例については、遺伝子変異の確認を行った上で、未報告の変異については、タンパク質の機能解析へと進める。 東南アジアの他国との交渉については、タイでの実績をもとに、近隣諸国を訪問する予定である。今期は、タイ以外の国については、実態調査を始める下地となる関係をつくることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
効果的な物品調達を行ってきたため、若干の次年度への繰り越しが生じた。予算を超過することはできないため、次年度の使用とした。 次年度の予算と合わせて、実験用試薬等の調達に使用する予定である。
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