研究課題/領域番号 |
24406036
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
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研究分担者 |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (10513187)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口唇口蓋裂 / 発展途上国」 / 医療援助 / 活動評価 |
研究概要 |
日本を含め先進諸国は発展途上国に対して医療援助(経済的及び技術的支援)を行ってきている。われわれはこれまで10年以上にわたり、ベトナム社会主義共和国において口唇口蓋裂未治療患者に対する無償手術や現地医療スタッフに対する教育及び技術援助活動を行ってきた。本研究では発展途上国において人的および資金的に効率のよい医療援助をおこなうために、施行した医療援助の費用対効果や今後の計画の妥当性図る指標を設けることを目的としている。 実施地域は我われがこれまでに医療援助活動を行ってきたベトナム社会主義共和国ニンビン省およびベンチェ省である。本年度はニンビン省における口唇口蓋裂を中心とした医療援助活動評価の基礎とするためにこれまでに治療を行ってきた患者データベースの作成と医療需要予測のためにベンチェ省での先天異常発生率モニタリング調査に重点を置いた。ニンビン省ではこれまで継続して医療援助活動を行ってきたニンビン総合病院において、これまでの活動期間中に受診・登録された口唇口蓋裂患者のデータベースを作成した。このデータベースをもとに26年3月にニンビン省において医療援助活動と現地調査と実施し、登録患者の再来状況や治療効果の調査および及び新規患者の登録をおこなった。本年の活動では新たに35名の患者を登録するなど、約70名の患者を診察、30例の外科手術を施行し、これをもとにデータベースの更新を行った。ベンチェ省においては今後の需要予測を行うための資料の一つとして、先天異常発現率調査を行った。予め臨床的によくみられる先天異常をリストアップし、総出生数と先天異常患者数を記録するための調査票を作成した。これをもとにベンチェ省グェンデンチュー病院内に開設された疾患モニタリング予防センターの協力を得て、同病院で分娩されたおよそ7000例の患者において先天異常の発生率調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年行っている現地での調査をまとめて、次年度の計画を策定している。 本年度も2月から3月にかけて、現地調査を行い、これをもとにデータを整備する予定で、次年度に向けた準備が概ねできている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度として研究を実施する予定である。以下に計画を示す。 1、口唇口蓋裂発現率調査 調査対象のエリア(ベトナム ベンチェ省)において、口唇口蓋裂を中心とした先天異常調査を現地医師の協力を得て継続実施する。調査は日本人歯科医師とベトナム人医師でチームを構成し、日本人が調査の方法についてキャリブレーションを十分に行ったうえで現地医師を中心に行う。診断の困難な症候群等は資料をもとに日本人医師が診断する。これによってベトナムにおける口唇口蓋裂発生率を概算し、医療援助の需要を推測することが可能となる。 2、医療援助活動評価のための調査 これまでに対象エリア(ベトナム ニンビン省)で行ってきた医療援助活動をもとに調査を実施する。ニンビン総合病院で治療を行ってきた患者の医療記録をもとに、ニンビン省人民委員会の許可を得たうえで倫理的配慮をして実施する。手術実施年齢や手術内容等の医療実施記録、リコールのために来院した患者の経過観察と予後評価の結果を評価し、データベースに入力する。 3、日本人データとの比較分析 ベトナムで得られたデータをもとに、われわれが日本で行ってきた治療成績との比較分析を行う。 4、これまでの医療援助の効果を総括する われわれがニンビン省で行ってきた医療援助による治療効果を検討し、ニンビンモデルの総括を行う。さらに今後の活動を行ううえでの需要予測と今後の援助活動のあり方を検討する。 さらに本モデルが他地域への導入が可能か検討しる。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査に必要な渡航費や滞在費を算定していたが、調査時期が繁忙期ではなかったので航空運賃が当初の見込みよりも低く抑えることができたこと、現地滞在費も想定よりインフレが進んでいなかったことで、旅費を低く抑えることができた。 平成26年度もベトナムにおいて現地調査を行う予定である。ニンビン省においてはこれまでに行ってきた医療援助で治療してきた患者の治療効果を評価し、ニンビンモデルの医療援助形態の治療効果を総括する。 またベンチェ省においては、現地医療機関と共同で先天異常の発生率調査を行い、人口動態から勘案した医療援助の必要度を算出する基礎資料とする予定である。
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