研究分担者 |
東浦 洋 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00468886)
馬場 雄司 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10238230)
坂元 眞由美 (川島眞由美) 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (10437444)
磯和 勅子 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30336713)
岡本 菜穂子 上智大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30553565)
大石 朋子 (大塚朋子) 東京情報大学, 看護学部, 講師 (40413257)
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研究実績の概要 |
2016年度は、日本とタイ王国において、高齢者を介護する家族介護者がどのような現状にあるのか、在宅介護における両国の相違と共通性は何かを明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した。 対象者は日本とタイ王国の在宅で高齢者を介護する家族介護者であった。日本においては関東地区、東海地区、近畿地区、タイ王国においてはチェンマイの3地区においてデータ収集を行った。調査項目は、基本属性、Zarit介護負担感尺度短縮版、介護継続意志、WHO-5精神的健康状態表、介護者との関係、健康状態、経済状態、公的・私的サービス、サポート状況、介護環境、介護に関する思い等であった。 日本においては114名の家族介護者から回答が得られた。82名の回答者(71.9%)が女性であり、平均年齢は64.8±11.1歳であった。タイ王国においては103名の家族介護者から回答が得られ、うち女性が76(73.8%)、平均年齢は49.1±13.3歳であった。 日本とタイの比較を行った結果、精神的にも身体的にもタイ王国の家族介護者の方が有意に健康であると回答していた(p =.000, p =.000)。特に日本と比較して介護負担や孤独感を感じる程度が低かった(p =.000, p =.000)。また、タイ王国の家族介護者の方が社会的な関係性を保っており、私的なサポートを受けている状況が明らかとなった(p =.000, p =.000)。 日本では介護保険制度が導入され、公的なサポートはタイよりも充実していると考えられる。しかし、本調査の結果では、タイ王国の家族介護者の方がより安定した介護状況にあることが示唆された。年齢の相違はあるものの、健康や心身の安寧には、社会的なつながりや私的なサポート等、コミュニティのつながりを充実させていくことの必要性が示唆された。
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