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2012 年度 実施状況報告書

省メモリ環境下における量子計算機の能力の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24500003
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山形大学

研究代表者

中西 正樹  山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40324967)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード量子計算 / 量子分散計算 / 量子通信計算量
研究概要

平成24年度は量子計算モデルの能力の解析を行った.本研究で対象としている省メモリ量子計算機は,量子計算特有の「可逆性」の制約が大きく影響し,場合によっては古典計算機よりも能力が弱くなる場合もある.これを踏まえ,省メモリ量子計算機であっても古典計算機より優れた能力を出せる状況,逆に古典計算機より劣ってしまう状況を明確にすることで,量子計算の能力がどこに由来するのかを明らかにできる.
この目標のため,様々な量子計算モデルの中でも分散量子計算のモデルについて着目し,研究を行った.
まず,状況設定としては,複数のプレーヤーが参加する状況で 1.各プレーヤーは自分の入力のみを参照できる場合,2.各プレーヤーは他人の入力のみを参照でき,自分の入力は参照できない場合の2通りを考えた.また,量子強非決定性計算のモデルを対象としている.この問題設定において,1の場合における量子通信計算量の下界,および2の場合における量子通信計算量の上界を求めた.この上界及び下界を解析するに際し,非決定性通信テンソルを用いて特徴づけを行っている.この結果は従来知られていた2者間の量子通信計算量の自然な拡張になっている.
さらに求めた計算量を用いた応用として,強非決定性量子通信と有界誤り量子通信の計算能力を比較し,前者が後者に対して優位になる場合があることを示した.この結果は一般の量子計算モデルでは未解決の問題を分散計算における量子通信計算量という定式化の元で解決したという意味で意義のあるものと考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分散計算における通信計算量に着目し,目標としている量子計算モデルの優位性,限界を示す結果を得られたため,おおむね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

平成24年度は量子分散計算モデルを対象に,目標としている量子計算モデルの能力の解析を行い,望ましい結果を得られた.今後は得られた知見をさらに活用し,各種小規模な量子計算機に対応する計算モデルの能力について理論的な解析を行う予定である.特にエラーなし計算に関する既知の結果に着目し,その応用について検討することを考えている.
また,ハードウェア量子計算機シミュレータのアーキテクチャの検討を始めており,FPGA 上での実装に向けて研究を進める予定である.

次年度の研究費の使用計画

成果発表および研究調査の予定に変更が生じたため,当該研究費が生じた.
翌年度以降に請求する研究費と合わせ,研究打ち合わせのための国内旅費,および成果発表のための国内,海外旅費として使用するほかに,計算機実験用のPCの購入費等に充てる予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Tensor Rank and Strong Quantum Nondeterminism in Multiparty Communication2013

    • 著者名/発表者名
      Marcos Villagra
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Information and Systems

      巻: Vol. E96-D, No.1 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1587/transinf.E96.D.1

    • 査読あり
  • [学会発表] Tensor rank and strong quantum nondeterminism in multiparty communication2012

    • 著者名/発表者名
      M. Villagra
    • 学会等名
      The 9th Annual Conference on Theory and Applications of Models of Computation (TAMC2012)
    • 発表場所
      北京(中国)
    • 年月日
      20120516-20120521

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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