研究課題/領域番号 |
24500007
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山崎 浩一 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (00246662)
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キーワード | Path-Distance-Width / Tangle / 極小セパレータ |
研究概要 |
25 年度は Fixed Parameter Tractability の視点を含め、Bandwidth および Path-Distance-Width と SSE 予想との関係を明らかにすることを目標としていた。この目標に対し、構造的な特徴の輪郭を捉えることができ、一定の進展はあったといえる。 また、Branch-Widthの近似アルゴリズムの設計を、Tangleと呼ばれる(Branch-Widthの)双対概念の観点から考察した。本考察では、制限されたTangleを計算し可視化するソフトを作成し行い、このソフトのおかげで手作業では確認が困難であった様々なことが確認できるようになった。現時点では本考察が近似アルゴリズムの設計とはまだ結びついていないが、Tangleがなす構造特徴はある程度明らかにできた。この点は大きな進展といえる。 25年度は、昨年24年度に得られた以下の二つの研究結果を、それぞれさらに進展させた。 【1】24年度に、単位円交差グラフのクラスの無限階層に関する結果の発表したが、この無限階層の一番内側のクラスになる細帯グラフと呼ぶグラフクラスが、混合単位区間グラフと呼ばれる単位区間グラフを一般化したグラフのクラスを真に含む事を示した。【2】24年度に、極小セパレータと擬似誘導マッチング数に関する研究結果を発表したが、この研究をさらに進め、この結果が既に知られていた極小セパレータを数え挙げるGood Pair と呼ばれる手法の一般化になっていることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bandwidth および Path-Distance-Width と SSE 予想との関係の解明を目標としていたが、解明まではいたっていない。しかし構造的な特徴の輪郭を捉えることができ、一定の進展はあったといえる。 Branch-Widthの近似困難性を示す一つの有力な方法として、その双対概念であるTangleの特徴を解明することは重要である。25年度の研究で、Tangleがなす構造特徴はある程度明らかにできた。この点は大きな進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
Bandwidth および Path-Distance-Widthの構造的特徴を整理し、この構造が近似アルゴリズムの設計に具体的にどう悪影響を与えるかを26年度で解明する。 計画当初は予期していなかったが、Tangleの構造特徴をSSE予想の観点で考察することは、新しいBranch-Widthの近似アルゴリズムの設計に寄与する期待が持てる。是非この点も研究を進めたい。 25年度は、全体として、グラフパラメータを固定することで生じる、グラフの構造的な側面を中心に研究を進めてきたが、26年度では、25年度で得たこれら構造的特徴を近似アルゴリズムの設計(特に困難性)に結びつけることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の2点が理由である。 【1】研究成果発表のタイミングが合わず、予定していた旅費の一部が未使用となった。 【2】実験用(Tangleの可視化)プログラム作成を学生に依頼する時期が若干遅れたため。その分予定していたプログラムの75%しか作成できず、プログラム作成に予定していた謝金の一部が未使用になった点。 26年度に、25年度は発表できなかった研究成果の発表を行う。その際の旅費に割り当てる。また、予定していたプログラムの残り25%を26年度に作成するが、その謝金に充てる。
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