本研究の目的は、 SSE予想の仮定の基、path-distance-width、rank-width、clique-width、( 可能なら carving-width、boolean-width)などの重要な幅系パラメータに対し、近似困難性を明らかにすることであった。この目的は概ね達成できた。Rank-widthとclique-width、および(可能であればとしていた)carving-widthとboolean-widthに関して、これらパラメータが共通に持つ3分導出木という基本構造をSSE予想のフレームワークに落とし込む事で、近似困難性を示す事が出来た。Path-distance-widthに関しては困難性を示す事は出来なかったが、これはpath-distance-widthの構造が他の4つのパラメータと大きく異なることが原因である。同様の理由で、25年度の研究計画で目標に挙げていた「bandwidthおよびpath-distance-widthとSSE予想との関係」も明らかにすることが出来なかった。本研究を通して、bandwidth系とrank-width系の構造の違いを再認識する結果となった。一方で、予定には無かったmaximum induced matching-widthというグラフパラメータに関して近似困難性が示せた。このパラメータは3分導出木の構造を持ち、かつboolean-widthの下界にもなっている。この下界を使うことによりboolean-widthの近似困難性を示す事が出来た。 近似困難性の研究成果発表が国内研究会に留まっているのは、研究結果が最終年度末まで得られなかったためである。本研究結果は学術雑誌に現在投稿中である。一方で、path-distance-widthの構造解析を行う中で、副産物的に細帯グラフと呼ばれるグラフクラスに対してある種の無限階層が存在することが示せ、この研究は学術雑誌に掲載された。
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