可逆コンピューティングは物理的可逆性と密接に関係した計算モデルであり、量子コンピューティングとともに微視的な物理的性質を演算に利用する将来の計算機構の開発の鍵となる。本研究では、可逆的な物理モデル、可逆論理素子と論理回路、可逆計算機システムなど、いくつかのレベルの可逆計算の諸モデルの特性を解明するとともに、それらの関係を明らかにし、理論全体を体系化した。特に、2状態可逆論理素子、可逆チューリング機械、可逆セルオートマトンなどの計算能力を研究し、いずれの場合も非常に単純なモデルでも万能性を有する(汎用計算システムを構成し得る)ことを示した。
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