研究課題/領域番号 |
24500023
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
陳 致中 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00242933)
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キーワード | 最大一致森問題 / 網状ネットワーク問題 / ハプロタイプ組立問題 / 固定パラメータアルゴリズム / 近似アルゴリズム / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
まず、以前設計した網状ネットワーク問題を解くアルゴリズムをさらに改良して実装した。主な改善点はrSPR距離を求める近似アルゴリズムの改良にある。以前の近似アルゴリズムにおいて、毎回の繰り返しで任意の兄弟葉(sibling leaves)を選んで処理を進めていった。これに対し、新しい近似アルゴリズムにおいては、rSPR距離を求める固定パラメータアルゴリズムと同じように、ある種の特別な兄弟葉を優先して選んで処理を進めていった。この変更により、近似アルゴリズムの達成する近似率の改善を理論的に証明することができなかったが、新しいアルゴリズムを実装して性能を図ったところ実行時間に大きな改善が見られたので、新しいアルゴリズムがよりよい近似解を見つけられることがわかった。 次に、計算困難なハプロタイプ組立問題を厳密に解くアルゴリズムの設計と実装に取り組んだ。以前の厳密アルゴリズムは入力行列をブロックに分けてから、各ブロックに関する問題をMax-Cut問題かまたはMax-SAT問題に帰着して解いた。本研究では、この問題の新しい性質を証明して利用し、ブロックをさらにサブブロックに分割できることを証明した。その結果、元の大きな問題をより小さい部分問題に変換でき、より高速に解けることがわかった。また、各サブブロックに関する問題を整数線形計画問題(MIP)に帰着して、優秀なMIP-SolverであるCPLEXを用いて解いた。結果として、以前のアルゴリズムは最適な解を出力できないかまたはPCクラスタ上でも長い時間を必要としたのに対し、本研究で得たアルゴリズムが1台のPC上でも高速に最適な解を出力できることがわかった。また、一部の難しいサブブロックに関する問題を解くためのheuristicsも設計してその実用性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想通りの結果が得られて、国際学術誌論文2編にまとめて発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、計算困難なハプロタイプ組立問題について研究を続けていきたい。本研究で既に得たアルゴリズムは一部のサブブロックを解く際にまだ長い時間がかかる。そのために、難しいサブブロックを解くためのheuristicsを2つ設計したが、その実行時間と出力(近似解)の質を改善する余地がまだ残されている。 次に、計算困難なClosest文字列問題のrandomized固定パラメータアルゴリズムを設計して実装し、その性能を測定したい。本研究で既にこのようなアルゴリズムをいくつか設計したが、その実装にまだ着手できていなく、derandomizationについてもまだ考えていない。できるだけ早い時期に実装して性能を図り、必要に応じてより高速なアルゴリズムを設計していくと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
2回海外出張の旅費として使った結果、僅かな金額が残った。 僅かな金額しか残っていないが、次年度の直接経費に足して、より柔軟な使い方をしたい。現時点で海外出張の旅費として使うことを考えている。
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