研究課題/領域番号 |
24500037
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
片山 喜章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263435)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MANET / 自己安定 / 自律移動端末 / 通信基盤技術 |
研究概要 |
本研究の目的は大きく分けると「1. アドホックネットワーク上でのGeoCast, MultiCastなどを代表とする情報伝達のための高信頼性を有する通信基盤技術の開発」と「2. 自律移動端末を利用した情報共有のための通信基盤技術の開発」の二つである. 初年度にあたる今年度においては,1. のプロトコル開発に関して文献調査を中心に進め,その過程で「マルチキャストツリーを構成する自己安定アルゴリズムに関する研究」と題する研究成果を情報科学ワークショップ2012で発表することができた.この成果(提案プロトコル)は,ネットワークを構成する端末の部分集合に対して特定の情報を効率よく送信するためのプロトコルであるマルチキャストプロトコルを実現するために,ネットワーク上にマルチキャストツリーを構成するためのプロトコルであり,このアルゴリズムは自己安定性を持つことでMANET上でも安定してマルチキャストツリー構造を維持できる特徴を有する.つまり,端末が移動しネットワークトポロジが変化するシステムでも,効率の良いマルチキャストが実現可能とする技術である. 2. の自律移動端末に関する研究については,まずより現実的な移動端末モデルであるファットロボットをモデルとする研究成果について調査を進めた.その結果,いくつかの未解決問題を発見し,それに対する解(アルゴリズム)を開発できた.1つは連続平面上でファットロボットに円形成をさせるアルゴリズムである.さらに,離散平面(グリッド)上でファットロボットを集合させる問題に対して,モデルの異なる2つのアルゴリズムを開発した.モデルの違いは,ファットロボットが持つ初期情報の違いであり,平面を規定するx,y軸に関して共通知識がある場合とない場合である.いずれも,研究会及び全国大会で成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では文献調査を中心に行い,その手ごたえを確認するための簡単なアプリケーションの作成を予定していた.しかし実際には,文献調査の過程で発見された未解決問題に対しての解放をかいはつした点で,予定より進んでいると判断している.一方で,実際にアドホックネットワークが活躍する現場での現実的な問題点の洗い出しについてはまだ不十分である.
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今後の研究の推進方策 |
災害現場でのアドホックネットワークの利用状況やその問題点などについての,文献などによる調査を進める.これと同時に,平成24年度に得た成果を,国際的な場所で発表する機会を設ける予定である. 上記調査と,理論的成果の文献の調査を同時に進め,実際に必要とされる通信基盤技術の洗い出しと応用可能な既存技術の改良を視野に入れた新技術の開発を目標とし,研究を進める.また,理論的な解析手法と計算機を用いたシミュレーションによる解析手法の両方を用いて,開発技術の評価を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の成果を国際会議等で発表するための費用を計上する予定であり,これが量的に主な研究費の使い道になる予定である.さらに,国内の研究者との意見交換のための費用も考えている.一方,物品的には,研究成果の評価のためのシミュレーションとその結果の解析を効率よく行うための計算機環境の整備も考えている.
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