研究課題/領域番号 |
24500037
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
片山 喜章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263435)
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キーワード | 自己安定アルゴリズム / ファットロボット / 一点集合 / アドホックネットワーク / マルチキャスト / ジオキャスト |
研究概要 |
今年度は,アドホックネットワークを構成する各ノードが自律的に移動可能な端末である場合を研究対象とし,特に自律分散ロボット群制御に関する研究を進めた.自律分散ロボットによるシステムでは,そのロボットモデルなどに対する仮定によって問題の可解性が大きく変わる.本研究においては,特にファットロボットと呼ばれる,一般的に扱われてきたモデルであるロボットを点で表すモデルに対して面積を持つ「円」としてモデル化したロボットモデルに関する可解性を明らかにした. ファットロボットは,それが展開される場の座標系における単位距離とロボットの大きさによっていくつかに場合分けされるが,昨年度の研究成果の中で提案した「small」ロボットによる集合問題に関する可解性を2つ明らかにした.ひとつは,離散平面(いわゆる講師座標系)における集合問題で,既存の成果より集合形状の面積が小さくなるアルゴリズムを提案した.さらに,連続平面における集合問題においても,既出論文の不備を指摘し,その問題を解決した集合アルゴリズムを提案した. 一方,マルチキャストやジオキャスト関連の研究については,これらの通信手法において有効な DAG を構成するアルゴリズムに関して,より性質の良いDAGとして極大DAGを提案し,その構成アルゴリズムの提案を目指した.今年度は,極大DAGの定義を行い,同時にその構成手法について概略を設計した.具体的な成果としては,極大DAGを構成する上で必要なグラフ(ネットワーク)上の関節点を求めるための自己安定アルゴリズムを提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的な目的である「MANETにおけるマルチキャスト,ジオキャストのような高度な通信基盤技術の開発」に向けて,MANETのモデルとしての自律移動ロボットシステムにおける諸問題の可解性を明らかにしつつあり,また,高度通信基盤を構築する上で有用な DAG 構造に関しても,よりよい DAG 構造の定義とその構築手法についての成果が出つつある.以上より,おおむね順調であると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
MANETのモデルである自律移動ロボットシステムに関しては,まだまだ明らかにすべき点は多く残っているため,引き続きロボットモデルと問題の可解性に関する研究を継続する.高度通信基盤に関しては,現在設計中の極大DAG構成アルゴリズムの完成を急ぎ,それを利用したマルチキャストあるいはジオキャストの性能をシミュレーション等で解析する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
個人的な事情で脚を怪我し,行動が制限されていたため本来予定していた出張(国内・国外)をキャンセルしたため. 予定している出張に加え,よりアクティブに活動を行う予定である.具体的には,1度の予定であった国際会議への参加を2回以上に増やすことを目標としている.さらに,国内での研究会への参加や同じ研究テーマの研究者らとの打ち合わせの回数を増やす予定である.
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