研究実績の概要 |
最終年度も継続してアドホックネットワークを構成する各ノードが自律的に移動可能なシステムを研究対象とし,自律分散ロボット群の制御に関する研究を中心に,アドホックネットワークにおける経路制御に関する研究も併せて行った.自律分散ロボット群制御に関する研究においては,グリッド上でマンハッタン距離ではなくユークリッド距離を測位系とした場合のファットロボットによる集合問題を新たに定義し,その解決アルゴリズムを提案した.さらに,ロボットにライトを装備させ,ライトの明滅によって状態を通信し合うモデル上で,ファットロボットによる円形成を実現するアルゴリズムを提案した.アドホックネットワークにおける経路制御については,今まで考えてきた極大DAGの定式化をさらに推し進め,(s,t)-極大DAGを定義し,任意形状のネットワーク上で(1,1)-極大DAGを求める自己安定アルゴリズムを構成した(今後発表予定). 本研究の全体を通し,主に自律分散ロボット群制御に関する新たな知見を得ることができ,それにともないいくつかの成果を上げた.具体的には「ファットロボットによるグリッド上での集合問題の定義とその可解性および連続平面での円形成の可解性(10個のアルゴリズムと1つの非可解性)」「アドホックネットワークにおける効率の良い通信を実現するためのネットワーク構造の構成(4つのアルゴリズム)」が成果としてあげられる.それぞれの結果は,国際会議での発表(1件)および招待講演(1件),国内会議での発表(21件)および招待講演(1件)を通じて広く公開された.
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