本研究では、開発者や保守者が過去に行ったプログラムのソースコードの編集操作をすべて記録し、その編集操作履歴から将来のプログラム保守に役立つ情報を抽出する手法を確立する。 平成27年度は、Javaプログラムにおける特定のクラスメンバが構築される過程だけを再生可能な編集操作スライシングツールを用いて、プログラム変更理解作業に対する効果を評価する実験を行った。具体的には、平成26年度の研究において、実際のソフトウェア開発時に記録した編集操作履歴データの一部に欠陥があることが判明した。このため、評価実験に先立ち、編集操作履歴から再生されたコード間の矛盾を自動的に検出するツールを構築し、データの補正を行った。その上で、Javaプログラムの作成において、特定のクラスメンバの構築が非連続に行われている事実を示し、編集操作スライシングにより変更理解作業の軽減が可能であることを立証した。
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