研究実績の概要 |
(超大規模化への対応のための新しいシミュレーション手法の確立)前年度までに検討・導入したセルオートマトンをもとにした大規模並列演算手法を,相互結合網シミュレーションに本格的に導入した。ここでの成果は以下の2点である。(1) GPGPUの利用によりシミュレーションの大幅な高速化を達成した。この過程で高速化手法・最適化手法を試みており,GPGPU技術の観点からも知見を蓄積することができた。100万ノード規模のシミュレーションの実用的な時間での実行を可能とした。(2) 前年度までは相互結合網要素の動作モデルを簡略化していたが,実機に近いモデルを使用可能にする手法を検討し,シミュレータでの動作を検証した。
(相互結合網の先行制御手法の考案)相互結合網の輻輳制御について,局所的・広域的の2つの観点からそれぞれ効果的な手法を検討した。(1) (局所的制御手法)輻輳箇所が時間とともに移動する現象が観測されることを利用し,局所的な輻輳情報を積極的に伝播することで各ノードにおいて近い将来の輻輳を予測させ,先行的に輻輳を回避する手法を考案した。(2) (広域的制御手法)輻輳状態を定量的に表現する「エントロピー」を導入し,その時系列変化に着目することで近い将来の結合網全体の輻輳状態を予測し,先行的に回避動作を行うことを可能とした。
【成果の公表】セルオートマトンに基づきGPGPUによりシミュレーションを高速化した成果については,国内研究会および国際学会(WANC, 査読付き)にて発表した。先行制御手法については,局所的手法を状態伝播スロットリングとして情報処理学会論文誌(英文)に掲載した。また広域的手法はエントロピースロットリング拡張手法として国際学会(CANDAR2015, 査読付きロングペーパー)において発表した。この発表論文に対してOutstanding Paper Awardを受賞している。
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